研究実績の概要 |
変形性関節症(Osteoarthritis:OA)は、顎関節を含む関節軟骨の変性を特徴とする疾患で、日本だけでも約1,000万人、世界には2億人の患者がいるとされている。 p21はcyclin-dependent kinase inhibitorの一種で、DNAが外界からのストレスにより損傷されると、細胞分裂周期を停止させることにより異常なDNA増殖を抑制する分子として同定された。近年p21のその他の働きとしてNF-κB, c-Myc, C/EBP, E2F, STAT3などの転写活性を調節するとの報告がなされている。そこで軟骨にメカニカルストレスを与える際にp21の発現が軟骨細胞にどのような影響を与えるのか、さらにp21遺伝子欠損マウス(p21 KO)を用いて変形性顎関節症(TMJ-OA)モデルを作製し骨・軟骨変性への影響を検討することを目的とした。 軟骨細胞分化モデルATDC5細胞株およびマウス下顎頭よりコラゲナーゼを用いて単離したプライマリー軟骨前駆細胞を用いてin vitroにおいて軟骨細胞分化誘導を行い、細胞に伸展ストレスを伸展装置で加えた後、変形性関節症の関連因子についてreal time PCR法にて解析を行い、検討を加えた。In vivoにおいては、健常マウスの関節軟骨(膝、顎関節)におけるp21の発現を組織学的に解析し、さらにTMJ-OAモデルマウスにおいて、メカニカルストレスとp21の関係についても検討を加えた。p21遺伝子欠損マウス(p21 KO)は作製を行っているものの、凍結胚から1代目の出生に時間がかかり、現在交配を継続している状況である。
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