研究課題
研究活動スタート支援
緑膿菌は免疫力低下患者に対して様々な感染症を引き起こすグラム陰性菌であるが、多剤耐性化と新規抗菌薬開発の遅滞により、新しい治療法開発が求められている。我々は緑膿菌の主要毒性因子であるⅢ型分泌システムに対する特異抗体・ワクチン療法や、ヒト免疫グロブリン製剤(IVIG)が治療・予防効果があることを示してきた。これらの免疫療法は、細菌の毒性は抑制するが、直接的な殺菌作用は持たないという欠点もある。そこで本研究では、殺菌作用を持つ抗菌薬と、細菌の表面抗原であるⅢ型分泌システムを抑制する特異抗体を組み合わせた抗菌薬含有免疫リポソームを開発する。このリポソーム製剤の特徴は、細菌の毒性因子を分子標的とすることで、体内での抗菌薬副作用を軽減しながら、細菌に対して選択性に抗菌薬の作用を発揮することである。つまり、この研究により、抗菌薬に分子標的抗体療法を組み合わせた新しい治療薬の開発に取り組む。今年度は、ファージーディスプレイ法を用いて、大腸菌ウイルスのM13のファージー感染能を失わないようにヒト抗PcrV抗体の可変領域を融合タンパクとして発現させ、ヒト可変領域を発現するライブラリーを構築し、目的の抗原と特異的に結合するファージークローンを選別することでヒト抗PcrV抗体を作製する。このヒト抗 PcrV抗体でリポソーム複合体を作成しつつ、同時にヒト気管支上皮細胞(BEAS-2B)にリポソーム複合体を投与し緑膿菌を感染させ細胞障害実験をおこなっている。この研究より今後の展開として緑膿菌以外のⅢ型分泌システムをもつ、多くの病原性グラム陰性桿菌感染症への応用、発展も可能があると考えている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件)
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