認知症高齢者における重症度別ADL障害の要因同定と介入方法の検討

• 研究課題/領域番号: 17H07026
• 研究種目: 研究活動スタート支援
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: リハビリテーション科学・福祉工学
• 研究機関: 大阪府立大学
• 研究代表者: 田中 寛之 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 講師 (10800477)
• 研究協力者: 西川 隆 ; 永田 優馬 ; 石丸 大貴 ; 小川 泰弘 ; 福原 啓太
• 研究期間 (年度): 2017-08-25 – 2019-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2018年度)
• 配分額: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円); 2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円); 2017年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
• キーワード: 認知症 / ADL / 重症度 / リハビリテーション

研究成果の概要

本研究では，在宅生活中および入院/入所中の認知症者におけるADL障害に関連する要因を重症度別に明らかにすることを目的としていた。H30年度は, 各評価指標とADLとの関連性を重症度別に多数例を集めて調査した。これまで集まった対象者の合計としては, 軽度認知症7名, 中等度認知症31名, 重度認知症93名であった。ADL; Phsical Self Maintenance Scale(PSMS) を被説明変数として, その他の臨床変数を説明変数として重回帰分析を実施したところ, 認知機能, 並存疾患の重症度, 栄養状態, agitationが有意に関連していることが明らかになった。

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究によって, 入院する認知症患者に対して効果的な日常生活リハビリテーションを行うには、その背景障害とそれらの影響の程度の検討することが重要であった。結果として、認知機能障害、並存疾患、栄養状態、焦燥感が日常生活障害の原因としてあげられた。これは、従来行動心理症状ばかりに囚われていた認知症リハビリテーションの方法を日常生活障害に焦点を当てた場合、リハビリテーションの方法を変更する必要性があることが示唆された。今後は、日常生活能力を改善するためには重度にいたってさえもこれらの要因にアプローチする必要がある。これは従来のリハビリテーション方法を変更しなければならないという点で重要な結果である。

研究成果

• [雑誌論文] Clinical Utility of the Cognitive Test for Severe Dementia: Factor Analysis, Minimal Detectable Change, and Longitudinal Changes (2018)
  • 著者名/発表者名: Tanaka Hiroyuki et al
  • 雑誌名: Dementia and Geriatric Cognitive Disorders Extra 巻: inpress 号: 2 ページ: 214-225
  • DOI: 10.1159/000488937
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 早食いに対する食具の工夫 ～食事形態と介助方法に拒否を示した全失語重度認知症患者の一例～ (2018)
  • 著者名/発表者名: 田中寛之, 永田優馬, 石丸大貴, 小城遼太, 西川 隆
  • 雑誌名: 作業療法ジャーナル 巻: 52(3) ページ: 279-283
  • 査読あり
• [雑誌論文] 認知症に対するパーソンセンタード ケアの理解度についての調査 作業療法士, 理学療法士, 言語聴覚士の比較－. (2018)
  • 著者名/発表者名: 田中寛之, 永田優馬, 石丸大貴, 木本祥子, 長倉寿子
  • 雑誌名: 兵庫県作業療法士会機関紙 巻: 7 ページ: 28-34
  • 査読あり
• [雑誌論文] 重度認知症者のための認知機能検査 (2018)
  • 著者名/発表者名: 田中寛之, 永田優馬, 石丸大貴, 西川 隆:
  • 雑誌名: 老年精神医学雑誌 巻: 29(11) ページ: 1175-1181
• [雑誌論文] ライフヒストリーカルテの導入が医療介護職員の患者・利用者理解度に与えた影響 (2018)
  • 著者名/発表者名: 田中寛之, 永田優馬, 石丸大貴, 日垣一男, 西川 隆
  • 雑誌名: 作業療法 巻: in press
  • NAID: 130007690015
• [雑誌論文] 早食いに対する食具の工夫 ～食事形態と介助方法に拒否を示した全失語重度認知症患者の一例～ (2018)
  • 著者名/発表者名: 田中寛之 他
  • 雑誌名: 作業療法ジャーナル 巻: 52 ページ: 279-283
  • 査読あり
• [雑誌論文] 重度認知症者における評価法について (2017)
  • 著者名/発表者名: 田中寛之 他
  • 雑誌名: 日本臨床作業療法研究 巻: 4 ページ: 76-86
• [雑誌論文] 重度認知症におけるADLの変動性 (2017)
  • 著者名/発表者名: 石丸大貴, 田中寛之, 永田優馬, 西川 隆
  • 雑誌名: 老年精神医学雑誌 巻: 28 ページ: 1025-1030
  • NAID: 40021331795
  • 査読あり
• [雑誌論文] Impaired Interpretation of Others Behavior is associated with difficulties in Recognizing Pragmatic Language in Patients with Schzophrenia (2017)
  • 著者名/発表者名: Fukuhara K, Ogawa Y, Tanaka H, Nagata Y, Nishida S, Haga D, Nishikawa T
  • 雑誌名: J Psycholinguist Res 巻: 46 号: 5 ページ: 1309-1318
  • DOI: 10.1007/s10936-017-9497-8
  • 査読あり
• [学会発表] 重度認知症者のための新しい認知機能検査 (第2報) (2018)
  • 著者名/発表者名: 田中寛之, 永田優馬, 石丸大貴, 西川 隆
  • 学会等名: 第33回老年精神医学学会
• [学会発表] 身体活動量と認知機能, ADL, BPSDの関連性. 認知症重症度で変化する身体活動量の影響の可能性－. (2018)
  • 著者名/発表者名: 石丸大貴, 田中寛之, 永田優馬, 西川 隆
  • 学会等名: 第33回老年精神医学学会
• [学会発表] 認知症患者の活動に対する取り組み方評価尺度の開発 Assessment Scale of Engagement to Activity 試作版の内容妥当性の検討-. (2018)
  • 著者名/発表者名: 梅田 錬, 田中寛之, 正村優子, 中川裕絵, 馬場圭太郎
  • 学会等名: 第52回日本作業療法学会
• [学会発表] 重度認知症の残存する認知機能について. Cognitive Test for Severe Dementiaの項目通過率による検討－ (2018)
  • 著者名/発表者名: 田中寛之, 永田優馬, 石丸大貴, 西川 隆
  • 学会等名: 第52回日本作業療法学会
• [学会発表] The possibility of cognitive improvement in severe dementia. (2018)
  • 著者名/発表者名: Tanaka H, Nagata Y, Ishimaru D, Nishikawa T
  • 学会等名: 1st International Congress of Clinical Occupational Therapy
  • 国際学会
• [学会発表] 統合失調症における会話量と精神症状, 活動量との関連について. (2018)
  • 著者名/発表者名: 福原啓太, 大尾充剛, 森 泰祐, 小川泰弘, 田中寛之, 西川 隆
  • 学会等名: 第38回近畿作業療法学会
• [学会発表] 自動車運転の再獲得により復職に至った症例 ～停止車両評価を踏まえた運転支援～ (2018)
  • 著者名/発表者名: 石丸大貴, 田中寛之, 永田優馬, 鍵野翔平, 西川 隆
  • 学会等名: 第38回近畿作業療法学会
• [学会発表] 重度認知症における休息活動リズム障害と日常生活活動との関連性. (2018)
  • 著者名/発表者名: 石丸大貴, 田中寛之, 永田優馬, 西川 隆
  • 学会等名: 第10回日本臨床睡眠医学会
• [学会発表] Development of the Cognitive Test for Severe Dementia -examining, reliability, validity, responsiveness and interpretability- (2017)
  • 著者名/発表者名: Tanaka H, Nagata Y, Ishimaru D, Nishikawa T
  • 学会等名: 32nd International Conference of Alzheimer’s disease International
  • 国際学会
• [学会発表] Adaptation of the quality of life in late-stage dementia (QUALID) scale for use with Japanese samples (2017)
  • 著者名/発表者名: Nagata Y, Tanaka H, Ishimaru D, Nishikawa T
  • 学会等名: 32nd International Conference of Alzheimer’s disease International
  • 国際学会
• [学会発表] Relationship between amount of physical activity and cognitive function, activiteis of daily living, and behavioral and psychological signs and symptoms in severe dementia (2017)
  • 著者名/発表者名: Ishimaru D, Nagata Y, Tanaka H, Nishikawa T
  • 学会等名: 32nd International Conference of Alzheimer’s disease International
  • 国際学会
• [学会発表] 食物をこぼさないための食具の選択 ～「和えるaeruのこぼしにくい器」を用いて～ (2017)
  • 著者名/発表者名: 田中寛之, 永田優馬, 石丸大貴 , 西川 隆
  • 学会等名: 第37回近畿作業療法学会
• [学会発表] 長期入院中にスイッチコントロールを用いてiPadを導入した一症例smart technologyによる残存能力の支援は妻とメールができる (2017)
  • 著者名/発表者名: 田中寛之, 永田優馬, 石丸大貴, 西川 隆
  • 学会等名: 第51回日本作業療法学会
• [学会発表] 日本版Quality of Life in Late Stage Dementia (QUALID-J) の継時的変化の検討 (2017)
  • 著者名/発表者名: 永田優馬, 田中寛之, 石丸大貴, 西川 隆
  • 学会等名: 第11回日本作業療法研究学会
• [学会発表] 認知症に対するパーソンセンタードケア理解度の調査 他職種との比較から見えた作業療法士の役割- (2017)
  • 著者名/発表者名: 田中寛之, 永田優馬, 石丸大貴, 西川 隆, 長倉寿子
  • 学会等名: 第24回兵庫県作業療法士学会
• [学会発表] Quality of Life in Late Stage Dementia日本版 (QUALID-J)の因子分析の検討 (2017)
  • 著者名/発表者名: 永田優馬, 田中寛之, 石丸大貴, 西川 隆
  • 学会等名: 第32回 老年精神医学学会
• [学会発表] 重度認知症におけるADL変動性の検討 ～応用行動分析学的ADLスケールを用いて～. (2017)
  • 著者名/発表者名: 石丸大貴, 田中寛之, 永田優馬, 西川 隆
  • 学会等名: 第32回 老年精神医学学会
• [学会発表] 重度認知症者用の新たなQuality of Life尺度～Quality of Life for Severe Dementia in Residential Setting (QoL-SDR) の試作～ (2017)
  • 著者名/発表者名: 永田優馬, 田中寛之, 石丸大貴, 西川 隆
  • 学会等名: 第37回近畿 作業療法学会
• [学会発表] 重度認知症者のパフォーマンスの変動性がケアの内容に与える影響 (2017)
  • 著者名/発表者名: 石丸大貴, 田中寛之, 永田優馬, 西川 隆
  • 学会等名: 第37回近畿作業療法学会