研究成果の概要 |
各頂点に離散値の負荷が与えられた分散ネットワーク上おいて, 各頂点における負荷がなるべく均等に配分されるように負荷を再配分する「ネットワーク上の負荷分散」アルゴリズムを考える. 本研究ではその単純さ故に多くの研究が為されてきた拡散アルゴリズムの解析を行う. これは, 各時刻において各頂点が自身の近傍に負荷を拡散させることを繰り返すことで全体に負荷を分散させるアルゴリズムの総称である. 本研究では新しい確率的な拡散アルゴリズムを提案し, その誤差解析を行った. その結果, 任意のグラフに対し次数の劣線形となる上界を与えた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
昨今のネットワークの大規模化, P2P ネットワークのような分散型ネットワークの出現により, ネットワーク上の各プロセッサにかかる負荷を均等に配分しなおすことを目指す「ネットワーク上の負荷分散」アルゴリズムは近年その需要が増している. しかし, 単純なアルゴリズムに対しても, その解析の困難さより, 既存研究では正則グラフをはじめとした限られたグラフ構造上での解析に留まっている. 本研究では主にマルコフ連鎖の過渡解析技法を適用し, 既存のモデルを非正則なグラフ上でも動作するように拡張・更にはその誤差に対する制度保証を与えた. 非正則なグラフ上での成果はほぼ初であり, その意義は大きい.
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