研究課題
研究活動スタート支援
日韓両国の農業者団体は、貿易自由化によって自国農業の経営環境が厳しくなると見込み、反自由貿易の政治運動を展開した。このうち韓国の農業者団体は、労働組合など異業種の団体と共に、社会運動の一環としての反自由貿易活動を行い、世論を通じて政府を圧迫し、政府から農業補助金の増額などの譲歩を得た。これに対し、日本の農業者団体は、自民党政権のロビー活動という、従来からの方式に沿った政治活動を併せて行い、農業補助金の確保に努めた。以上の通り、日韓の農業者団体は、自由貿易への反対運動の過程で、大きく異なる手法を展開したが、その違いにも関わらず、ともに相応の政治的成果を得たと言える。
本研究の遂行は、利益団体である農業者団体が、その政治的目標を達成する過程で世論を動員しうること、そしてその世論の動員が、時として政治的に強い影響力を持つことを明らかにした。本研究の分析結果は、特に韓国政治研究においては、従来別個の枠組みとして論じられがちであった社会運動と利益団体政治が、密接に結び付いたものであることを実証したものである。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
北東アジア地域研究
巻: 24 ページ: 1-16
40021631870
IAFOR Journal of Politics, Economics & Law,
巻: 4-1 号: 1 ページ: 30-39
10.22492/ijpel.4.1.03