本研究の主な目的は、老化に伴う視床下部の機能低下の役割を明らかにすることである。睡眠の質的低下が全身の生理学的機能に悪影響を及ぼし、その結果、老年性疾患の発症に繋がる、という知見が報告されている。しかしながら、睡眠の質がなぜ老化に伴い低下するのか、睡眠の質的低下が全身性の老化現象をどのように引き起こすのか、その詳細な分子制御機序については明らかにされていない。これまでに研究代表者は、視床下部背内側核が老化・寿命を制御する上で重要な役割を果たしていることを明らかにした。また、視床下部背内側核に発現しているPR domain-containing protein 13 (Prdm13)が睡眠の質的変化を調節していることを見出した。本年度までに、Prdm13ノックダウンマウスの睡眠制御メカニズムを明らかにするために、睡眠制限に対する反応性や概日周期行動の解析を実施した。現在も、Prdm13ノックアウトマウスを作製し、解析を続けている。
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