研究課題
特別研究員奨励費
本研究課題では、芳香族第三級アミドのcis型優先性という独自の立体特性を利用することで、らせん状、環状オリゴマーを創製し、その立体挙動の解析および分子認識能の検討を行うことを目的としている。本年度は、らせんオリゴマーについて昨年度までに得られた結果をまとめ、学術雑誌に発表した。環状オリゴマーについても、環状5量体の結果を学術雑誌に発表し、国内学会1件、国際学会1件において研究成果を発表した。また環状オリゴマーについては、共同研究先のヨーロッパ化学・生物学研究所において4か月間滞在し、研究を行った。8量体以上の大環状化合物を得ること目的として、8, 12量体オリゴアミドを種々合成したが、目的の環状化合物は得ることができなかった。オリゴアミドの鎖長が長くなればなるほど、導入する第三級アミド結合の数、位置の選択肢も増えるため、最適なオリゴアミドの設計が困難であった。環化前駆体である鎖状オリゴアミドの立体構造を予測し、精査することが必要であると考えられた。その他、これまでに得られた環状化合物の立体構造解析を行った。結晶中では2巻きのらせん部分を持つ構造を安定にとり、溶液中では溶媒に応じて複数の異なる構造をとる環状7量体に対し、溶液中の動的挙動を観察するため、フッ素原子を導入した。温度可変・2次元NMRを測定し、より詳細な解析を行った。また単結晶X線構造解析の結果、環化類縁体はフッ素非含有の環状7量体と同様の結晶構造をとっており、フッ素原子は7つのキノリン環のうち3カ所に見られたことから、可動性が高いことが明らかとなった以上、本研究では芳香族第三級アミド結合のcis型優先性を活かすことで、分子包接能をもつ新規らせんオリゴマーの創製やこれまで合成が困難であった環状オリゴマーの合成を初めて達成し、それらの立体特性を明らかにした。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件)
Tetrahedron
巻: 75 号: 19 ページ: 2771-2777
10.1016/j.tet.2019.03.049
Angewandte Chemie International Edition
巻: 57 号: 26 ページ: 7888-7892
10.1002/anie.201802159
The Journal of Organic Chemistry
巻: 83 号: 23 ページ: 14338-14349
10.1021/acs.joc.8b02045