研究課題
特別研究員奨励費
ものづくりのスマート化に寄与する究極的プラズマ接合プロセスの確立にあたり,本年度は昨年度に構築した数値解析モデルをさらに発展させることで,昨年度対象としたガスメタルアーク溶接よりも複雑なサブマージアーク溶接のモデル化とその溶接現象のメカニズムの解明を試みた.サブマージアーク溶接はフラックスと呼ばれる粉体中でアークプラズマが維持され,溶接が行われることが特徴である.これを再現するため,本数値解析モデルでは粉体を表現する計算手法であるDEMと溶融金属のような連続体を表現する計算手法であるISPH法を用いた連成計算モデルをサブマージアーク溶接現象に適用した.この数値解析は被溶接材料とフラックスを粒子で表現する必要があり,多くの粒子数を用いることから計算負荷が大きい.そこで昨年度導入したCUDA言語を用いてグラフィックボード上での計算を実現するため,計算機を購入した.一方でこの連成計算モデルは,大きな密度変化を伴うアークプラズマを取り扱うことができない.そこで本研究では,有限体積法によって支配方程式を離散化し,SIMPLE法によって解く格子法を用いてアークプラズマ熱源を解くことで,被溶接材料表面における熱流束を求めて熱源として利用した.数値解析の結果,被溶接材料が溶融した溶融池と,フラックスが溶融したスラグの形成過程を同時にシミュレートすることができた.この数値解析によって得られた被溶接材料の溶込みの深さは実際の溶込みと同等であり,妥当な計算結果が得られた.またフラックスやスラグと被溶接材料の熱流束に注目すると,熱源通過後にフラックスから被溶接材料への入熱が確認でき,フラックスはこの溶接プロセスにおいてサブ熱源としてはたらくことが明らかとなった.一方スラグと被溶接材料間の入熱は小さく,被溶接材料表面をガス等による冷却から保護していることが明らかとなった.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Flow Control, Measurement & Visualization
巻: 06 号: 02 ページ: 66-81
10.4236/jfcmv.2018.62007