研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は,励振と内力制御に基づいて,大自由度かつ柔軟な身体をもつ移動体の設計論を構築することである.申請者の昨年度の研究では,柔軟大自由度ロボットの設計論構築において重要なキー技術となる,とある新たな現象を発見した.すなわち「アクチュエータに内在する電気的受動特性を活用した運動パターンの生成現象」である.本現象では,センサやコントローラ・マイクロプロセッサの類を一切もたないロボットが,自然界の動物にみられる運動パターンを能動的に生成し,かつ状況に応じて運動パターンを適応的に選択するという驚くべき実験結果が得られた.これをうけた本年度の研究では,新現象の適用範囲の調査および理論的・数値的な解析を行った.これら成果により,「弱さの制御原理」を用いて大自由度かつ柔軟な身体をもつ移動体の設計論を構築するための初期調査が達成された.さらに,発見した新現象とその解析結果から着想を得て,本研究の目的である,大自由度かつ柔軟な身体をもつ移動体のための新しい分散型制御法を開発した.本制御法は,動物に備わる伸長反射機能に着想を得ており,ロボットの身体モデルを用いることなく大振幅の全身運動を生成することができる.また,上記で提案した分散型制御法と,動物に備わる生理的な機能との対応付けを行うことで,動物の運動生成原理の説明を試みている.本年度中に採択された学術誌(発表1-1)では,我々動物が数多もつ筋制御系のダイナミクス(今回は特に伸長反射系)が,動物の周期運動の生成・同期において重要な役割をもつことを数理的に示した.具体的には,筋-神経の相互作用モデルを非線形制御理論におけるルーリエ系の理論を用いた解析を行った.さらに,筋骨格アームモデルを用いたシミュレーションでは,複数の筋モデルが互いに協調・同期することで,アームモデル全体の共振モードが生成されることを示した.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 7件) 備考 (5件) 産業財産権 (1件)
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