研究課題
特別研究員奨励費
氷床コアには過去の空気が保存されている。本研究は、過去の全球平均海水温の指標であると考えられている希ガスの存在比と同位体比およびCO2濃度を、南極ドームふじ氷床コアを用いて分析することで、気候が大きく変遷した期間における全球平均海水温とCO2濃度の変動を同時に復元し、両者の変化の相関関係や時間関係を明らかにすることを目的としていた。2019年度は、新型コロナウイルスの影響により予定していた氷コアの実試料を用いた分析は行えなかったが、CO2濃度分析のための切削抽出装置を新たに製作したとともに、氷床コア中の希ガスの分析手法を確立し、今後当該成分の分析を実施できる装置群と手法を作り上げた。CO2濃度分析に関しては、前年度から開発を進めてきた気体の抽出装置を完成させた。氷粉砕の肝となるニードル型粉砕機を組み立て、さらに抽出装置各部(真空容器、粉砕機、配管など)の壁面からの脱ガスを防ぐための洗浄と酸素による内面処理を施した。抽出装置の配管や排気装置、ガストラップ冷凍機などを、排気効率やガス転送効率を検討したうえで設計し架台部材を調達した。その後、抽出装置の最終組み上げを行い切削装置を完成させた。希ガス分析に関しては、抽出空気を捕集するためのガストラップ冷凍機を設計・調達した。従来の冷凍機では希ガス分析で転送する比較的大量の試料(標準状態で約100 ml)には捕集能力が不十分であっため、新型の冷凍機では最低到達温度の低下やウェル型熱交換器の使用などの改良を施し、抽出空気の捕集効率を上げることを狙った。新しい装置で希ガスの抽出実験を行ったところ、転送後の配管内の残圧がそれまでの1/10程度と大幅に低下し、気体を効率よく回収できることが分かった。これらの新規装置と、前年度に製作した空気試料の分割容器と2段式大容量水トラップを用い、南極の浅層コアの繰り返し分析を行い、手法と精度を確立させた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20200310.html