研究課題/領域番号 |
17J01081
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
思想史
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
矢口 直英 東京学芸大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2017年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | イスラーム医学 / イブン・スィーナー / 『医学典範』 / ファフルッディーン・ラーズィー / クトゥブッディーン・シーラーズィー / ルハーウィー / イブン・アビー・ウサイビア / イスラーム / 医学史 / 思想史 / イスラーム哲学 |
研究実績の概要 |
最終年度は昨年度の成果を発表するとともに、引き続きイブン・スィーナー(11世紀)の『医学典範』に対する注釈書を中心的な資料として研究を進めた。 まず、『医学典範』のアラビア語注釈とラテン語注釈を比較した。ラテン語注釈が著者を複数いる権威の一人として他の医学者たちと比較し検討する一方、アラビア語注釈は『医学典範』という医学の枠組みのもとで議論を展開する。このような違いは、イスラーム世界で注釈書が大量に生まれた理由を理解する上で重要である。 哲学との関連性を踏まえ、イブン・スィーナー以前と以後での医学の定義の変遷を分析した。イスラーム世界において医学は伝統的に「学」と「術」の間に位置づけられたが、イブン・スィーナーは医学を明確に学と定め、自然学の派生的学と見做した。注釈者たちはこの定義について議論を行い、その難点の解決に取り組んだ。その影響は注釈以外の医学書においても強く、それらの著者は注釈書による修正を交えた同様の定義を述べている。以上のことは、『医学典範』の注釈者たちが批判的に議論を行っていたこと、またそれらの議論が『医学典範』の注釈伝統の外にまで波及していたことを示しており、これまで根拠に乏しかった『医学典範』およびその注釈書の後代への影響力を実際に証明する好例である。 また、イブン・スィーナー自身が『医学典範』において避けた哲学的議論を、注釈者たちは頻繁に展開していることが判明した。この事実は、注釈者たちの原典に対する独立した態度を示していること、この時代には医学と哲学が接近しており、『医学典範』が哲学的な書物としても扱われたことを意味する。このことは、『医学典範』およびその注釈の受容の理解に大きく資するであろう。 本研究によって明らかとなったことは、イスラーム世界における医学の扱いや立場に関して、今後のさらなる解明に繋がるであろう。
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現在までの達成度 (段落) |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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