研究課題
特別研究員奨励費
まず、酒米品種の「山田錦」の粒幅と粒重を制御している2つの主要な量的形質遺伝子座(Quantitative trait locus: QTL)、qGWh5とqGWh10の高精度マッピングによる原因遺伝子同定を行った。その結果、それぞれ約80kbと約96.7kbの領域まで狭めることができ、原因遺伝子候補としてそれぞれ3つと2つの遺伝子を抽出できた。本研究では原因遺伝子の単離には至らなかったが、これらQTLに強連鎖するDNAマーカーは開発でき、酒米育成時には、これらを用いて効率的なQTLの選抜が可能となった。また、ゲノムワイド関連解析によって粒長では1箇所、粒幅では5箇所にQTLが検出された。これらの内、染色体5で検出された粒幅のアソシエーションは上記のqGWh5と同座であった。さらに、粒幅を大きくするqGWh5の対立遺伝子頻度は在来品種で69.2%、育成酒米品種で74%、育成食用米品種で22%と大きな偏りが観察された。そのため、このQTLは酒米品種を特徴づけるQTLの一つであり、今後の酒米品種育成においても優先して選抜することが肝要であることが明らかとなった。加えて、4つの主要な粒大QTL、qGL4、qGWh5、qGWh10、qGL11をそれぞれ2つ集積した系統を用いた解析の結果、粒幅と粒厚ではqGL4、qGWh5、qGL11が同一の制御経路、qGWh10はそれ以外の経路で制御していると推察された。また、粒長ではqGL4とqGWh10、qGL11とqGWh10のそれぞれの組み合わせが関係する制御経路が予想された。このように、粒大は非常に複雑な制御経路によって支配されていた。最後に、4つのQTLを集積した系統は今年度の選抜によって1個体のみ作出できた。この個体の粒重は上記QTLを2つ集積した系統よりも大きくなく、推察された粒大制御経路の複雑さを反映しているものと示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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