研究課題
特別研究員奨励費
ブドウ球菌が皮膚において感染を成立するためには、角質層と顆粒層のバリアを突破しなくてはならない。まず角質層バリアにおけるブドウ球菌の侵入機序を検討するために、スフィンゴ脂質合成酵素遺伝子を欠損したコンディショナルノックアウトマウス(Sptlc2 CKO)を作製した。野生型マウスに黄色ブドウ球菌を塗布しても、菌体の表皮内侵入像は認められなかった。一方で、作製したSptlc2 CKOマウスの(細胞間脂質の構成に異常を持った)角質層表層に黄色ブドウ球菌野生株を塗布し反応させると、表皮内に付着した菌体はマウス表皮内へと侵入した。このことから、ブドウ球菌の角質層通過には角質細胞間の構成成分が関与している可能性が示唆された。またブドウ球菌は表皮内の顆粒層バリアを突破する前に、表皮内に好中球浸潤を誘導する。この表皮内への好中球浸潤を誘導する菌体成分を同定するために、菌体表層分子に関わる遺伝子欠損黄色ブドウ球菌株をマウス耳介表皮へ塗布し6時間反応時における耳介の腫脹と表皮内への好中球浸潤を確認できた切片頻度を目安としてスクリーニングを行った。ペプチドグリカン加水分解酵素を欠損した株において、細胞壁タイコ酸欠損株と同程度の炎症抑制効果が認められた。そのため細胞壁タイコ酸以外にペプチドグリカンの三次元構造も好中球誘導に関与している可能性が考えられた。今後、今回示唆された可能性を更に検討する事が望まれる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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The journal of veterinary medical science
巻: 印刷中
Veterinary Dermatology
Archives of Virology
巻: in press 号: 7 ページ: 1-8
10.1007/s00705-018-3811-0