焦点可変マイクロミラーを焦点距離変調器に用いた共焦点レーザー変位計の研究を行なった.共焦点レーザー変位計では,焦点位置を移動させることが求められる.そのため焦点位置を移動させる焦点距離変調器がキー要素であり,測定速度も主にこの変調器によって決定される.従来のものでは,ボイスコイル等を用いてレンズの位置を移動させることで焦点位置を移動させていた.しかし,レンズなどは比較的重い物なので高速化するには問題があった.そこで,より高速な焦点走査が可能な焦点可変マイクロミラーを用いることを提案している.共焦点レーザー変位計の光学系は光源の半導体レーザー,偏光ビームスプリッタ,ファラデーローテータ,1/4波長板,レンズ,ピンホール,フォトダイオード,焦点可変マイクロミラーから構成される.焦点可変マイクロミラーは共振周波数で駆動するとき,焦点距離が最大と最小ではない時は1周期に同じ焦点距離が2回現れる.したがって,1周期に2回フォトダイオードからの信号のピークが現れる.そのピークとピークの時間と変位を対応させることができる.実際に変位を計測する際はあらかじめ実験的に用意した関係にピーク間時間を代入することで変位を導出することができる.100x80 mmの光学ベンチ上に光学素子を配置した.焦点可変マイクロミラーは7 kHzで駆動した.測定試料の変位を変化させた時,理論計算の通りの信号を得ることができた.走査幅が310 μm,分解能は4 μmであった.最後に段差のある試料の計測を行ない,誤差が4 μm以内で測定することができた.本研究で最も重要なパラメータである測定周波数は7 kHzであり,従来の3.5倍となった.以上より焦点可変マイクロミラーを用いた共焦点レーザー変位計の実証を行うことができた.本研究はアメリカ光学会の論文誌とMEMSの国際会議で発表した.
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