研究課題
特別研究員奨励費
マウス胎仔線維芽細胞(MEF)から始原生殖細胞(PGC)を直接誘導するために、既存のトランスクリプトームデータ再解析により、MEFに比べてPGCで発現が高い等の基準で21の転写因子を絞り込み、MEFでの過剰発現を行った。その結果、MEFと比べPGCで発現が高い遺伝子(PGCマーカー)が発現誘導される細胞集団が見られ、さらに様々な条件検討により、わずか3遺伝子まで絞り込むことに成功した。しかし、細胞集団における解析ではPGCマーカーが発現誘導されていない細胞が混在した状態であるため、正確な発現誘導の程度等を解析することが困難であった。そこで、単一細胞レベルで遺伝子発現定量が可能なシングルセルRT-qPCRの実験系を確立し、解析を行ったが、PGCマーカーの発現上昇が見える実験回と見えない実験回があったりと、安定した結果が得られなかった。そこで、シングルセル解析系の反応時間等の変更など様々なプロトコル改訂を行ったが結果は安定しなかった。一方、ES細胞を含む株化した細胞株では安定した結果が得られたことから、詳しい原因は不明だが、本実験系は、処理を行ったMEFとは相性が悪く、安定した結果が得られないと考えられた。このように、当初の研究計画とは大幅に予定が変わり、目標としていたMEFからPGCの直接誘導には至らなかったものの、本研究により示唆された、MEFではわずか3遺伝子によりPGCマーカーの遺伝子発現が制御されている可能性は、これまでに報告がなく、この3遺伝子によるPGCマーカーの発現制御機構など、解決するべき課題はまだあるが、本研究で得られた知見はMEFをはじめとする体細胞から始原生殖細胞を直接誘導する条件、また、体細胞と生殖細胞の性質の違いを分け隔てている分子機構や個体発生全能性解明の重要な基盤になると考えられる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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