研究課題/領域番号 |
17J02079
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
人文地理学
|
研究機関 | 筑波大学 (2018) 東京学芸大学 (2017) |
研究代表者 |
池田 真利子 筑波大学, 芸術系, 助教
|
研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2018年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2017年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | ナイトライフ / 夜 / ベルリン / ジェントリフィケーション / 音楽 / ナイトクラブ / 創造性 / 都市政策 / 文化政策 |
研究実績の概要 |
本年度に取り組んだ研究テーマは,①ドイツの都市発展に関する研究と②大都市のナイトライフ観光研究の大きく2つである。なお,②は①の研究過程で得られた知見に基づく研究視点であり,①②には強い関連性がある。①に関して,本年度は特に,創造性の担い手の多様性と地域ごとの特性に注目した。具体的には,ベルリン市の旧東西境界域にまたがるフリードリヒスハイン=クロイツベルク地区と,旧西ベルリンの都市変容(ジェントリフィケーションおよび都市再開発)の時系列的変化に注視し,時期ごとの担い手の変遷に注目した。その結果,既存の研究において,創造性の担い手は「創造階級」,「創造的職種」等の産業分類からの説明が妥当とされてきたが,旧東ベルリン地区では,音楽産業が中心であるのに対し,旧西ベルリン地区では,より公益性の高いアーティストが再活性化の役割を担うといったように,地域によってその具体性は大きく異なること,また創造産業を誘致する計画は,グローバル・ノースの大都市に限らず,その存在が一般的に知られているところではあるが,ベルリン市の街区の定点的観測を行ったところ,当該街区の都市文化・消費スタイル(あるいはメディアにおける注目)が鍵であることがわかった。また②に関して,既存研究の展望(先行研究の調査)とフィールド調査を行い,これらの成果を学術論文として発表した。本年度は,個人研究に力を入れ,関連論文の執筆を進めた。このうち1編は,ユトレヒト大学(オランダ)およびオックスフォード大学(イギリス)の地理学者との国際連携に基づく研究成果であり,空間研究や観光学的アプローチに限定せず,都市の夜の再編や意味の変化を地理学から捉えようとする研究視点を含む。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成30年度における本調査の進展は順調であり,期待以上の研究の進展があったとみる。昨年度に引き続き,ベルリンを中心とするドイツの都市発展に関する研究と,大都市のナイトライフ観光に関する研究において積極的な取り組みをみせた。なお,本研究員は本年度の研究成果として,英文誌を含む査読付き学術論文4編および学術大会報告3本を発表した。うち1編は,ユトレヒト大学(オランダ)およびオックスフォード大学(イギリス)の地理学者との国際連携に基づく研究成果であり,空間研究や観光学的アプローチに限定せず,都市の夜の再編や意味の変化を地理学から捉えようとする極めて興味深い研究視点を含む。また,また,昨年度と同様に,若手研究者と連携し,共同研究やアウトリーチ活動においても研究代表者として積極的に取り込んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
特別研究員PDとして従事した1年10カ月の研究成果を基に,今後も研究を継続的かつ着実に進めていく。具体的には,次年度中に出版予定の書籍の執筆,その後の学術出版の刊行を予定している。また,次年度には,受入教員であった加賀美雅弘先生(東京学芸大学教育学部・教授)と,「都市と記憶」に関する共同発表を予定しており,今後も連絡を取りながら,学術的議論を継続する予定である。また,特に大都市のナイトライフ観光研究に関しては,他の学術領域の研究者と協働し,実社会へ学術的発信を行っている最中であるが,学術的成果のみならず一般社会への利益還元も意識しながら,共同研究として進めていく予定である。
|