研究課題
特別研究員奨励費
本研究では昨年度から同大学院の内田助教授の協力の下,発達障害モデルマウスとして甲状腺機能低下症マウスを作成していた.そのモデルマウスを提案手法の検証試験に用いることで,提案手法を用いて疾患モデルマウスの特徴を発見することに成功した.安静時の大脳皮質血液量動態(CBV)信号を従来研究の解析通り単相関解析するだけではその疾患特徴は見つけられず,ノンレム睡眠時のデータを用いて相互相関解析を行い,異なる脳領域における活動タイミングのズレを評価する必要があった.このタイミングのズレが疾患モデルマウスでは健常マウスより顕著に大きく,提案手法により明確な差として神経疾患の特徴量を発見することができた.本研究の目的はマウス脳内の睡眠時機能的ネットワーク構造を評価する技術の確立と本技術を用いた疾患モデルマウスの評価であり,この結果は提案手法の有用性を裏付ける重要な結果である.また,この内容は研究実施計画に沿うものであり,計画通りの結果を得られたと言える.安静時機能結合(rsFC)研究の分野では,脳全体の血流動態の変動成分としてGlobal signal regression(GSR)と言われる信号を内因性光信号(IOS)から除去するか否かという点が未だ議論されており,はっきりとした結論が得られていないという問題がある。本研究では空間的な伝搬波を含むCBV信号に対してGSRを適用することで,伝搬波の位相が大きくひずみ擬似的な負の相関が発生することを指摘した.この点は皮質のCBV信号における同期タイミングの差を評価することにより疾患モデルマウスの特徴を検出するという上記の新規解析手法につながる重要な一つの成果と言える.また,本解析方法は単純な相関構造ではなくラグタイムを用いた新しい疾患検出方法としてfMRIを用いたヒトの研究に応用できる可能性があり,今後の発展が期待される.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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生体医工学
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Physiological Measurement
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