研究実績の概要 |
本年度は,思春期の身体活動と心の健康の実態を明らかにし,思春期の心の健康と身体活動の関連を検討した. まず,全国の地方都市にある国公立小学校28校・中学校22校の小学5,6年および中学1~3年の児童生徒12,086名を対象に身体活動ならびに抑うつ,首尾一貫感覚(SOC)の質問紙調査を行い,得られたデータの基礎解析を行った. 基礎解析より中学3年生2,443名を除く小学5,6年生から中学1,2年生9,424名を解析対象とし,身体活動,抑うつ,SOCについて各資料の実態を報告した.思春期はスポーツ活動は小学生よりも中学生が参加している者が多かった.抑うつは,小学生は学年差は見られなかったが,中学生は小学生よりも強い抑うつを示した.一方,SOCは「対人把握可能感」「有意味感」「把握処理可能感」により構成された.SOCは中学2年において男子が女子より良好であり,小学生は中学生より良好であった. 以上の実態をふまえ,抑うつならびにSOCに対する身体活動の要因の効果を明らかにすることを目的に,抑うつに対する至適な身体活動ならびにSOCに対する至適な身体活動を検討するため決定木分析をそれぞれ行った.「活動性および楽しみの減退」に関する抑うつは身体活動と関連があることを示した.また,小学生と中学生では特徴が異なり,中学生は男女ともに身体活動の活動内容が強度別身体活動時間より関連した.SOCは「有意味感」と身体活動に関連がみられ,中学生は活動内容が活動強度別身体活動時間よりも強く関連することを示唆した. 以上の成果について,実態報告を投稿し,資料論文として発育発達研究に掲載された.また,2つの国内学会においてポスター発表を行い,1つの国際学会においてポスター発表を行った.
|