研究課題
特別研究員奨励費
オートファジーは細胞内分解機構の一つであり、細胞内の品質管理を担う。細胞内で新規の膜が細胞質成分を取り囲みながら伸長し、膜閉鎖により二重膜構造体のオートファゴソームが完成する。リソソームは完成したオートファゴソームにのみ融合できるが、この制御機構の詳細は不明な点が多い。最近、SNAREタンパク質のsyntaxin17(STX17)がオートファゴソームとリソソームの融合を担うことが報告され、融合制御機構の一端が明らかとなった。STX17は伸長中の膜には局在せず、一方で完成したオートファゴソーム膜に特異的に局在する。従って、STX17はオートファゴソーム膜の何らかの性質の変化を認識していると考えられる。しかし、形成後期のオートファゴソーム膜がどのように性質を変化させ、成熟するかについては未解明のままである。私はSTX17の局在解析から、成熟過程におけるオートファゴソーム膜の性質変化の解明を目指した。その結果、STX17のC末端領域の塩基性アミノ酸がオートファゴソームへの局在に必須であり、この特異性はアミノ酸配列ではなく、正電荷の数に依存することを見出した。また、リポソーム膜に対してSTX17は負電荷膜嗜好性を有したため、オートファゴソーム膜は負電荷膜であることが示唆された。さらに、成熟過程においてオートファゴソーム膜の負電荷量が増加することを細胞内膜表面電荷検出プローブの局在解析から発見した。この負電荷は特定の負電荷リン脂質の濃縮により増加することが示唆された。この負電荷量の増加を抑制すると、STX17のオートファゴソームへの局在効率が有意に減少し、細胞はオートファジー不全となることを見出した。従って、オートファゴソームは負電荷量を増加させることで、リソソームと融合可能な膜へと成熟すると考えられる。現在、以上の結果をまとめ論文投稿の準備をしている。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Cell Biol.
巻: 217 号: 8 ページ: 2633-2645
10.1083/jcb.201712058