研究課題
特別研究員奨励費
偏極代数多様体における標準的ケーラー計量の存在問題は複素幾何学における中心的問題の1つである.Chen-Donaldson-Sun(2015)は,特にファノ多様体におけるケーラーアインシュタイン計量の存在性がK-安定性という代数幾何的条件と同値であることを証明した.近年,二木不変量がゼロでないファノ多様体に対する標準的ケーラー計量の存在問題が盛んに研究されている.特に,2000年に満渕により導入された一般化ケーラーアインシュタイン計量(GKE計量)は,カラビの端的ケーラー計量のファノ多様体に対するアナログとしての視点および,幾何学的不変式論における相対チャウ安定性や相対K-安定性との関連による視点から注目を集めている.本年度はGKE計量のモジュライ理論的解釈を与えた.具体的には,まず,ファノ多様体の概複素構造全体のなす無限次元多様体にシンプレクティック構造を導入し,自然なハミルトン作用に関するモーメント写像を計算した.そして,そのモーメンント写像のゼロ点となる複素構造がGKE計量を定めることを証明した.さらにこの応用として次を証明した:「GKE計量を許容するファノ多様体の複素構造を微小変形すると,変形後のファノ多様体のModified Ding汎関数は下に有界である」.ここにModified Ding汎関数とは,GKE 計量を停留点として持つケーラー計量全体の空間のエネルギー汎関数である.この定理は次のLi-Zhou(2017)の定理の``半安定版''とみなせる:「GKE計量を許容するファノ多様体のModified Ding汎関数は固有である」.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 6件、 招待講演 6件)
Proceedings of the American Mathematical Society
巻: 147 号: 3 ページ: 1247-1254
10.1090/proc/14321
Tohoku Math Journal
巻: 印刷中
日本数学会2018年度会幾何学分科会講演予稿集
巻: なし
日本数学会2017年度秋季総合分科会幾何学分科会講演予稿集