研究課題
特別研究員奨励費
前年度までのゴニウム、テトラバエナの研究成果を投稿し、BMC Evolutionary Biology誌より出版した。前年度に引き続き、アストレフォメネの全ゲノム解読・解析を実施した。アストレフォメネのゲノムサイズ(104Mb)や遺伝子数等はこれまでのボルボックス系列緑藻各種のゲノムと大きく相違はなかった。ボルボックスにおいては遺伝子のタンデム重複と機能分化が起こり非生殖細胞の分化を担うようになったことが明らかになっているregA/RLS1ホモログの探索を行なったところ、アストレフォメネのゲノム上ではregA/RLS1ホモログのタンデム重複はみられなかった。また、ボルボックスにおいてはECM関連遺伝子PherophorinやMMPの数がクラミドモナスやゴニウムより多くなっており、これらの遺伝子数の増加がECMの増大に寄与したとされていたが、アストレフォメネではPherophorinやMMPの遺伝子数は増えてはいなかった。以上より、アストレフォメネはボルボックス科とは異なる分子進化により非生殖細胞と増大したECMを獲得したことが示唆された。また、前年度までに、アストレフォメネの内在性プロモーター・ターミネーターによる遺伝子発現コンストラクトを作製し、パーティクルガン法によるアストレフォメネ細胞への導入実験を行ないGFP遺伝子をtransientに発現し緑色蛍光を発するアストレフォメネ細胞の作出に成功していた。そこで引き続きハイグロマイシン耐性遺伝子の発現コンストラクトを作製し、導入実験を行なったところ、コンストラクトがゲノムDNA中に組み込まれてハイグロマイシン耐性を獲得した形質転換株を数株確立することに成功した。今後はこの新たに確立されたアストレフォメネのゲノムデータ、形質転換法により、多細胞化に伴って進化した形質の分子レベルでの進化の研究が推進されていくことが期待される。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件)
BMC Evolutionary Biology
巻: 19 号: 1 ページ: 120-120
10.1186/s12862-019-1452-x
Botanical Studies
巻: 59 号: 1 ページ: 10-10
10.1186/s40529-018-0227-9
120006532083