研究課題
特別研究員奨励費
宇宙で最大級に明るく輝くγ線バースト(Gamma-Ray Burst, 以下GRBと略す)の正体は未解明である。GRBに続く残光は、起源天体の爆発による噴出物質とGRB周辺の希薄な物質との衝突で生じる、相対論的(光の速度に近い速度を持つ)無衝突衝撃波で加速された電子の放射であり、GRBの正体解明に重要な情報を与えると期待される。しかし、衝撃波での磁場増幅機構や電子加速機構、そして放射機構の物理は未解明である。この問題はGRBだけでなく活動銀河核のジェットやパルサー風星雲など様々な天体現象にも関する重要な課題である。これまで主に調べられてきたのは一様な周辺媒質中を伝播する衝撃波でのエネルギー散逸機構であった。このとき、ワイベル不安定性によって生成される磁場は残光放射時間より早く減衰してしまうのが問題であった。本研究では、周辺媒質にあるマクロスケールの密度揺らぎが、衝撃波で働くミクロなプラズマの運動に与える影響に着目した。そこで、2次元プラズマ粒子シミュレーションを用いて、世界で初めて非一様媒質中を伝播する相対論的無衝突衝撃波での磁場増幅過程を調べた。 その結果、一様な場合での磁場増幅機構に加え、新たに以下の 3 つの磁場生成機構を発見した。1.下流で空間的非等方な密度構造から生成される温度非等方性に起因するワイベル不安定性2.衝撃波上流での長波長な磁場揺らぎを生成するプラズマ不安定性3.下流へ伝播する音波から生成される、温度非等方性に起因するワイベル不安定性これら3つの磁場生成機構はいずれもGRB残光放射に十分寄与する可能性がある。さらに、上記の磁場生成機構がGRB残光で働いてるならば、GRB親星周辺の密度揺らぎの波長が星間空間の典型値よりも十分小さく、従ってGRB親星の周辺環境が我々の銀河とは異なることが示唆された。
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