研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、寄生主と宿主の異植物種間の情報伝達が寄生器官(吸器)の発生を制御するという視点から、茎寄生植物アメリカネナシカズラの吸器発生における、 導管形成の分子メカニズムの全容解明を目指す。令和元年度は、当研究室で確立した、in vitroでのアメリカネナシカズラの吸器形成誘導系を改良し、吸器の先端細胞の管状要素分化までの発生過程を再現することに成功した。この過程を経時的に観察することで、本誘導系で形成された吸器が、シロイヌナズナ花茎に寄生した吸器と同様の発生過程を示すことが確認された。また、本誘導系で形成された吸器を発生段階別にサンプリングし、RNA-seqによる網羅的な遺伝子発現の変動を解析した。エンリッチメント解析から、アメリカネナシカズラの吸器発生において、吸器の伸長および宿主組織内への侵入に伴う、細胞膜や細胞壁の再編は吸器の細胞自律的に制御されている一方で、宿主組織内への侵入による環境変動に対する応答や吸器の形態形成は、吸器細胞非自律的つまり宿主組織依存的に制御されていることが示唆された。さらに、シロイヌナズナにおいて維管束形成に関わる遺伝子のアメリカネナシカズラオルソログに対する発現解析を行った結果、アメリカネナシカズラの吸器では、吸器細胞の宿主組織内への侵入によって、吸器の細胞における道管前駆細胞から管状要素への分化制御に関わる遺伝子の発現が活性化されることで、管状要素分化が誘導されることが示された。上記内容について、論文をまとめ、国際誌にて発表した(Kaga et al. 2020)。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件)
Frontiers in Plant Science
巻: 11 ページ: 193-193
10.3389/fpls.2020.00193