研究課題
特別研究員奨励費
ショ糖欠乏にさらされたタバコ培養細胞では内在性のSYP41が減少することを明らかにした。また、これまでの解析でタバコ培養細胞をショ糖欠乏にさらすと、ペクチンの細胞壁蓄積が抑制されることを見出していたが、原因が合成停止によるか分解促進よるかは不明であった。そこで、ペクチンの構成糖の一つであるKDO及びそのアナログと、それのクリックケミストリーを用いた標識系を導入し、ペクチンのターンオーバー解析を行った。解析の結果、ショ糖存在下では既存の細胞壁ペクチンは5時間以上の時間をかけ新規ペクチンに置換された。ペクチンはゆっくりと合成と分解を受けている可能性が示唆された。その一方で、ショ糖欠乏下に置かれた細胞では、ほとんどの既存のペクチンが2時間以内に新規のペクチンに置換された。このことはショ糖存在条件に比べ、ショ糖欠乏条件ではペクチンの代謝がより速く生じている可能性を示していた。ペクチンの細胞壁蓄積が抑制される仕組みは、ペクチンの合成および分解速度の増加による可能性が示唆された。さらに、ショ糖欠乏条件でオートファジーによりトランスゴルジネットワーク (TGN) 局在タンパク質の分解されること、および、それに伴う輸送の変化をまとめた論文が学術誌に掲載可となった。TGN局在蛋白質分解がオートファジーによるものかをより詳細に解析するため、タバコ培養細胞のオートファジー関連遺伝子であるATG5及びATG7のノックダウンラインの作成を試みたが、作成には至らなかった。また、シロイヌナズナにおいても、ショ糖欠乏条件下でオートファジーによりTGN局在蛋白質が減少するかを解析するために、TGN局在蛋白質と蛍光蛋白質の融合蛋白質を発現するシロイヌナズナ、および、ATG5、ATG7が欠損したシロイヌナズナを入手し、掛け合わせを行った。掛け合わせ後、種子を入手できたものの種子は発芽、生育することができておらず、この解析は成功していない。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: - 号: 8 ページ: 1652-1666
10.1080/09168451.2020.1756736