配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2017年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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研究実績の概要 |
Kneser条件を満足する超越格子を持つようなK3曲面の周期写像を考え,周期写像の逆写像による保型形式の構成と,保型形式の環の構造の決定を行った.これは次数2のSiegel モジュラー形式をK3曲面の視点に立って拡張したことに相当する. Siegelモジュラー形式とは,主偏極Abel曲面のモジュライ空間に付随した保型形式である.これは多変数の保型形式のうち代表的なものであり,その整数論への応用は志村五郎氏など多くの研究者によって試みられてきた.さて,Siegelモジュラー形式を,主偏極Abel曲面の代わりに,K3曲面のモジュライ空間に付随した保型形式と捉え,K3曲面の逆周期写像で構成した研究としては,2012年のA.Clngher氏-C.Doran氏の研究や,2015年の本研究者-志賀弘典氏の研究がある. 本研究者は本年度に上述の研究結果をK3曲面の視点に立って自然に拡張することを試みた. 特に,超越格子がKneser条件という整数論的な条件を満たす場合に,stable orthogonal groupというこのK3曲面のモジュライ空間を決定する群の構造について研究し,この場合の保型形式のモジュラー群の形式を調べた. この結果は論文``Inverse period mappings of K3 surfaces and a construction of modular forms for a lattce with the Kneser conditions''(arXiv:1903.01282)の一部にまとめられた. 更に,志賀弘典氏(千葉大),高山信毅氏(神戸大),松原宰栄氏(神戸大)と情報交換を行って,stable orthogonal group とGKZ超幾何方程式のモノドロミー群との関係を探った.
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