研究課題
特別研究員奨励費
[採用第2年度までの成果]標的細胞リガンドに葉酸を採用した抗体Fc結合性抗体リクルート分子 (Fc-ARM) を用いて、葉酸受容体 (FR) 過剰発現がん細胞へ特異的にIgGを集積させることに成功した。集積したIgG抗体は in vitroにおいてNK細胞を活性化し、抗体依存性細胞傷害 (ADCC)を誘導することを明らかにした。また、IgGの一部 (Fc fragment)、あるいはドナー血清由来のIgG (IVIG) を用いた場合にも、Fc-ARMによるADCCが効率よく誘導されることを明らかにした。[採用第3年度の成果]Fc-ARM戦略の可能性をより明確に示すため、in vitro及びin vivoの両面から実験を行った。in vitro実験としてはまず、親和性の異なる2つのペプチドを採用したFc-ARMsについて、抗体Fc領域に対する親和性を測定した。次に、Fc-ARMsによるFR過剰発現がん細胞への抗体集積、及びADCC誘導能を定量的に調べた。その結果、抗体の集積量及びADCC強度のいずれも、採用したペプチドのFc親和性と正の相関があると判明した。次に、in vivoにてFc-ARMがヒトIgG抗体を活用できるか検証した。具体的には、IVIGを担がんマウスに事前投与しておき、その後近赤外プローブを修飾したFc-ARMをマウスに腹腔投与した。その結果、Fc-ARMのマウス体内滞留時間、及び腫瘍集積性は事前のIVIG投与により大幅に上昇することが示された。この結果から、Fc-ARMとIVIGが複合体を形成し、Fc-ARMの見かけの分子量が上昇したことで体内滞留時間が上昇、更に腫瘍集積性も向上したと考察した。更に同マウスモデルにおいて、IVIG及びFc-ARMの併用療法は、腫瘍の成長を抑制した。以上の結果から、Fc-ARMのコンセプトを証明することに成功した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Chemical Science
巻: 11 号: 12 ページ: 3208-3214
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巻: -
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Medicinal Chemistry Communications
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