研究課題
特別研究員奨励費
本年度は,モノの所有感の測定方法の開発や個人差・文化差の検討を中心に行った。以下に詳細に記載する。(1) モノの所有感の測定方法の開発:Walasak et al (2015) が作成したモノの所有感に関する尺度の日本語版を開発し,その妥当性と信頼性について検討した。大規模な調査を行った結果,先行研究と同じく「所有感覚」と「自己―所有物関連性」の2因子に分かれた。信頼性および妥当性も概ね保証された。さらに,尺度とは別に保有効果を利用した選択式の行動指標の開発についても従事した。(2) モノの所有感の個人差・文化差:開発したモノの所有感に関する尺度を用いて,個人特性や価値評価の個人差とモノへの所有感の抱きやすさとの関連を検討した。結果として,主観的制御感覚の個人差とモノの所有感の尺度得点との間に関連が見られた。さらに,日本以外の文化圏での調査を探索的に行い,それを基に所有感の抱きやすさについては,モノとの物理的・心的距離が関与し,これには文化的要因が関与しているという仮説を生成した。この仮説については,引き続き実験的な検討を行う。(3) 空間位置情報を手がかりとしたモノの同一性認知:モノの所有感を抱くためには,その物体に対して常に同定する必要がある。そのため,動的環境の中で,我々がどのようにしてモノを同定しているかを明らかにすることは,モノの所有感形成の初期プロセスを理解するために重要である。この立場に立ち,モノの同一性認知に利用される情報について視覚的な運動に関する錯覚を利用して検討したところ,空間的な位置情報がキーであることを示した。本年度の成果としては,関連研究まで含めて書籍の分担執筆3件,査読付き論文6本 (うち1本は査読付き事前登録論文の第一段階採択),プレプリント5本,査読無し論文3本,研究発表16件であった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (25件) (うち国際共著 2件、 査読あり 15件、 オープンアクセス 17件) 学会発表 (57件) (うち国際学会 5件、 招待講演 9件) 図書 (1件) 備考 (3件)
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