研究課題
特別研究員奨励費
本研究課題では意欲の生成に関与しているとされている中脳辺縁系に属する側坐核が身体運動を制御する神経メカニズムの解明を目指している。当初の研究計画に脊髄損傷モデルの霊長類を用いる実験を追加した。平成29年度は、1)脊髄損傷後の運動機能回復における側坐核の因果律を検証した。また、健常モデルのサルを用いて運動課題中の2)側坐核不活性化による運動パフォーマンスへの影響、3)側坐核活性化による運動パフォーマンスへの影響を検証した。1)側坐核と脊髄損傷後の指先巧緻性運動の機能回復との因果関係を検証するために、両側側坐核の不可逆的な損傷を作成した群(側坐核損傷群)と側坐核を損傷させない群(コントロール群)で脊髄損傷後の機能回復過程を比較した。脊髄損傷前では、側坐核損傷による指先巧緻性運動への影響は観られなかったが、脊髄損傷後には指先巧緻性運動の回復が障害された。この結果によって、側坐核が指先巧緻性運動の機能回復に必須であることを示した。2)手首の力運動制御課題を学習させた健常モデルサルを用いて、側坐核を薬理的に不活性化させた際の難易度の異なる力運動制御課題における課題成功率や反応時間などを記録した。側坐核を不活性化するとサルは運動課題試行数を通常よりも多く行なうようになることを2頭のサルで確認した。3)上記の手首力運動制御課題を行なっている最中のサルの側坐核に電気刺激を一連の運動課題遂行時に与えた。電気刺激を与えることで、サルが運動課題を行なう試行数が劇的に向上することを1頭のサルで確認した。側坐核の不活性化・活性化ともに、サルの運動課題の試行数は増加した。相反する介入にも関わらず、類似した結果が出たことに関しては今後より詳細な検討が必要と思われる。側坐核不活性化・活性化中の運動関連領域の脳活動および側坐核の神経活動との機能連関は現在解析を行っている最中である。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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