研究課題
特別研究員奨励費
本年度は,昨年度までに構築したQスイッチレーザーシステムを小型化するため,磁性ガーネット膜の表面にコーティングする誘電体多層膜の設計と成膜に着手した。これまでは,出力鏡に比較的大型なガラス基板を用いていたため,Qスイッチの核をなす磁性ガーネット膜と出力鏡それぞれの固定治具が干渉し,空隙が生じていた。本取り組みはこの空隙を取り除くことで共振器長を小型化するものである。誘電体多層膜の設計目標は昨年度に得られた知見から定められた。誘電体多層膜の設計に先立ち,低屈折率材料と高屈折率材料をイオンビームスタッパ法を用いてそれぞれ成膜し,光学特性の評価を行った。得られた光学特性を基に,数値解析により必要な積層数と膜厚を求めた。結果,4層(2ペア)の多層膜で目標反射率を満たすことが示された。磁性ガーネット膜に設計した誘電体多層膜を形成しQスイッチレーザー発振を行った結果,共振器長を大幅に削減することに成功した。誘電体多層膜を形成した磁性ガーネット膜を用い,Qスイッチレーザー光学系を構築した。共振器長は昨年度までの報告である10ミリメートルから7ミリメートルとなり,3割の大きな縮小を実現した。得られたピークパワーは,共振器長が10ミリメートルであった場合の1.1キロワットに比べ,共振器長が7ミリメートルの場合には1.6キロワットと,およそ1.5倍の改善が得られた。今後はレーザー結晶と磁性ガーネット膜の間の空隙を取り除くことでさらなる高出力化が期待できる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 57 号: 6 ページ: 061101-061101
10.7567/jjap.57.061101
Scientific Reports
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https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-01/tuot-sah012218.php
https://www.tut.ac.jp/docs/PR180208.pdf