研究課題
特別研究員奨励費
慢性骨髄性白血病(CML)の治療時に再発の原因となっている残存白血病幹細胞の根絶を達成するために、骨髄移植治療時の移植細胞および白血病細胞の細胞動態 を中心に生理的条件下における骨髄細胞の増殖の数値化・数式化および、白血病における白血病幹細胞の増殖の数値化・数式化ついて解析を行い、昨年度までに以下の結果を得ている。CCL3阻害による優位な正常造血幹・前駆細胞再構築を促せることが明らかとなった。得られたデータより数理モデルの作成を行った結果、CCL3の特異的レセプターを欠損した骨髄細胞は一定の割合で優位な増殖率を持っているモデルを適応することで非常によく相関した数式が得られた。さらに、マウスCMLモデルに対して、野生型マウスの骨髄細胞をドナーとした骨髄移植治療を行い、骨髄内に残存した白血病幹細胞の動態を実測し、数理モデルの作成を行った結果、放射線照射量依存的に白血病幹細胞は減少し、低い白血病細胞の割合を保ったのちに、白血病細胞の割合を増加し死に至る再発過程を再現できることが明らかになった。一方で、十分に白血病細胞を死滅させるだけの放射線照射を行った個体を長期的に観察したところ、ドナー細胞由来の二次的な白血病を発症することが分かった。想定外の二次的な白血病により十分な解析が行えないので、30年度はこの二次的な白血病の発症機序について研究を進め、以下の二点について明らかにした。①エクソソームを含む細胞外小胞はマウスCMLモデル生体内において優位に増加しており、正常な造血幹細胞に対して造血阻害作用を示すことを明らかとした。②CMLの原因遺伝子であるBCR-ABLが、がん遺伝子誘導性の細胞老化を引き起こしており、DNA損傷を伴っていることが分かった。近年、新たな細胞老化を起こしている細胞の特徴としてエクソソームの放出が挙げられているため、細胞外小胞の増加要因であると考えられる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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