研究課題
特別研究員奨励費
これまで様々な観測により示されている現在の宇宙の加速膨張や、今後重力波の観測を通じて調査が劇的に進むと考えられる強重力場の現象を説明するためには、一般相対論の修正が必要となることも考えられる。他方で、仮に一般相対論が正しかったとしても、それを確立するためには比較対象となる別の重力理論を研究することが不可欠である。このような動機から、これまでさまざまな重力理論の修正ないし拡張が提案されてきたが、計量に加えスカラー場を一つだけ含んだ修正重力理論 (スカラーテンソル理論) が特に詳しく研究されてきた。このような背景があり、研究代表者は以下の研究を行った。(イ) cuscuton理論の拡張と宇宙論:cuscuton理論はスカラーテンソル理論の一種であるが、スカラー場が伝播しないという意味で一般相対論と類似した理論であると見なすことができる。本年度は、cuscuton理論と同様の性質を備えたより一般的な枠組みを構築し、その宇宙論解の安定性を調べた。得られた結果は、Journal of Cosmology and Astroparticle Physics誌にて出版済みである。また、その内容について国際会議で3回、国内学会で1回発表を行った。(ロ) 2次元スカラーテンソル理論の定式化の整備:先述のように、4次元のスカラーテンソル理論の拡張が進んでいるが、量子重力の文脈で2次元のスカラーテンソル理論の拡張も研究されている。2次元スカラーテンソル理論の作用は、しばしば曲率とスカラー場との結合を含んだ形で書かれるが、他方ではスカラー場の高階微分を含んだ形の作用も考えられてきた。本年度は、曲率とスカラー場とが結合した項をスカラー場の高階微分項で具体的に書き直すことで、両者の等価性を実証した。得られた結果は、Classical and Quantum Gravity誌にて出版済みである。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 8件)
Classical and Quantum Gravity
巻: 36 号: 9 ページ: 095003-095003
10.1088/1361-6382/ab1355
Journal of Cosmology and Astroparticle Physics
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Phys. Rev. D
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10.1088/1475-7516/2017/11/038
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Physical Review D
巻: 95 号: 8 ページ: 1-12
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