研究課題
特別研究員奨励費
本実験は大阪大学が所有する激光12号で行った。本実験ではプロトンバックライト計測(詳細は研究実施計画を参照)を弱磁場に適用できるかを目的に、パルス幅100psのレーザーで生成したプロトンをネオジウム磁石が生成する弱磁場(磁石表面で0.1T)に照射し、下流で計測されるプロトンイメージに磁場の有無による変化が現れるかを検証した。厚さ2μmの銅箔に、レーザー波長527nm、レーザーエネルギー200Jのガラスレーザーを4本照射しプロトンビームを生成した。プロトンビームは磁場を通過して、計測器(CR-39)でイメージを取得した。磁場が無い条件では、プロトンビームは発生源を中心に円形状に広がった。一方磁場がある条件では、プロトンビームは磁石方向に曲げられ、また上下方向にも大きく曲げられた。この実験で、0.1T程度の弱い磁場においてプロトン軌道の変化を確認できた。次に実験で得られたプロトンイメージから磁場構造を逆算するために、Particle-in-Cell(PIC)コードを用いたプロトン粒子の軌道計算から、実験結果を再現できるコードの開発が求められる。磁場が無い条件で、実験で得たイメージの大きさを再現できるようにプロトンビームの発散角を設定し、プロトン粒子のエネルギーを変化させて粒子軌道を計算した。しかし磁場がある条件で計算したイメージは、曲げられる方向は実験結果と同じという定性的には再現できたが、定量的な一致には至らなかった。そのため、実験結果を定量的に再現するコードの開発が今後の課題として残る。磁場計測は磁気スラストチャンバの原理実証にとって重要な課題である。磁気スラストチャンバの実用化は、レーザー核融合ロケットの開発に必要不可欠である。有人火星探査が注目されている中、レーザー核融合ロケットによる飛行期間の短縮化は、搭乗員の安全性に寄与できる重要な課題であると考えられる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 57 号: 5 ページ: 050303-050303
10.7567/jjap.57.050303
210000149032