研究課題
特別研究員奨励費
太古代-原生代の大陸地殻成長と砕屑岩の後背地面積との関係に注目し、砂岩の全岩化学組成を測定することで、太古代-原生代の大陸塊サイズの変遷の解明を目指した。昨年度、砂岩における砕屑物分別の指標として砂岩中の微量元素パターンを用いて計算したZr異常を提案した。本年度は実際に砂岩試料の分析を本格的に行った。花崗岩類を始めとする火成岩のZr異常の値は0.7~2程度である。砕屑物の淘汰によって、NdやSmを多量に含む鉱物とジルコンの分別によって、Zr異常の値は変化する。本研究は、ジンバブエと北米を中心に世界各地の3.4-2.2 Gaの堆積岩体から採集した砂岩59試料と、原生代後期から顕生代の30試料について、主要および微量元素の全岩濃度をXRFおよびICPMSにより測定した。加えて、砂岩の全岩微量元素組成を報告している先行研究22例をコンパイルすることで、地球史を通じた砂岩中のジルコニウム異常の値の経年変化をまとめた。堆積年代ごとにZr正異常の値を比較すると、太古代中期3.4-3.0 Gaの砂岩では0.1以上10以下、そして2.5-2.2 Gaのものでは0.2以上17以下とその値に大きな多様性がある。極めて高いジルコニウム異常の値は、特に受動的大陸縁辺で形成されたと考えられる砂岩で顕著であった。一方、3.0-2.5 Gaの砂岩のジルコニウム異常の値は0.6以上3未満であり、形成場に関わらず火成岩の値とほとんど変わらない。3.4-3.2 Gaまでには既にある程度の大きさの大陸が出現していたが、それらが3.0-2.5 Gaの間に矮小化し、さらに2.5-2.2 Gaの間に大陸サイズは再び増大したことを記録している。おそらく大陸サイズの矮小化はリフト活動による大陸分裂を、またその後の大陸サイズ増加は、一旦分裂した複数の大陸塊が再度衝突・合体したことを、各々示唆する。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Geochemical Journal
巻: 印刷中
Journal of Asian Earth Sciences
巻: 169 ページ: 228-236