研究課題
特別研究員奨励費
最終年度は、引き続き超重力におけるインフレーション模型についての研究を行った。予定ではリッチスカラーの二乗項を含む模型に焦点を絞る予定であったが、より一般的な超重力模型における素粒子論的宇宙論について研究を行う結果となった。特に、「アフレック・ダイン機構による原始ブラックホール生成」については特筆すべき成果が得られた。近年、レーザー干渉計重力波展望台(LIGO)による観測の結果、太陽の30倍程と非常に重いブラックホールの存在が明らかになった。しかし、従来の星進化のシナリオにおいては、このような重いブラックホールの形成は困難であることが示唆されている。このような重いブラックホールを説明しうる候補の一つに、「原始ブラックホール」というシナリオが提唱されている。我々は「アフレック・ダイン機構」と呼ばれる超重力理論のスキームによって、原始ブラックホールが生成されることを提唱した。従来の原始ブラックホールの生成シナリオと比較し、我々の模型は以下の点で優れている。まず、従来の模型は宇宙背景放射の歪みを生み出すことから、生成しうるブラックホールの質量・残存量に対して観測的な制限があった。しかし、我々の模型は宇宙背景放射の歪みへの影響が無視できるため、幅広い質量のブラックホールを生成できる(超大質量ブラックホールなど)。次に、この模型によって生成されるブラックホールのスペクトラムには、軽い側にカットオフがあるという特徴を持つ。驚くべきことに、このカットオフに対応する質量はおよそ30太陽質量に対応する。したがって、この模型は30太陽質量よりも重いブラックホールのみを生成するという特徴を持っており、LIGOの観測事実を必然的に説明することができるのである。そのため、生成されるブラックホールの質量をパラメタとして与える従来の原始ブラックホールの模型より、示唆的な模型であると言える。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 備考 (2件)
Journal of Cosmology and Astroparticle Physics
巻: 2019 号: 01 ページ: 027-027
10.1088/1475-7516/2019/01/027
arXiv
巻: 査読中
Physical Review D
巻: 98 号: 4 ページ: 043514-043514
10.1103/physrevd.98.043514
Physics Letters B
巻: 777 ページ: 270-274
10.1016/j.physletb.2017.12.038
巻: 印刷中
Physics Letter B
巻: 767 ページ: 392-392
10.1016/j.physletb.2017.02.030
巻: 96 号: 6 ページ: 063518-063518
10.1103/physrevd.96.063518
http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/th/th-j.html