研究課題
特別研究員奨励費
本研究ではプロトン・電子混合伝導性ガラスのカソード(空気極)材料としてのポテンシャルを探るため、プロトン・電子混合伝導性を有する35HO1/2-20WO3-45PO5/2ガラスをカソードとする燃料電池の単セルを作製しASR(面積で規格した分極抵抗)を評価した。電解質にはプロトン伝導性の36HO1/2-4NbO5/2-2BaO-4LaO3/2-4GeO2-1BO3/2-49PO5/2ガラスを用いた。ガラスカソード、ガラス電解質は、Na+イオンを含有するガラスを前駆体としNa+イオンを電気化学的にプロトンへと置換する手法により作製した。作製したこれらのガラスを接触させながら350℃に3~8時間加熱することで、ガラスカソードをガラス電解質に接合した。ガラス電解質のもう一方の面にはPd膜を成膜し、Pd膜をアノード、35HO1/2-20WO3-45PO5/2ガラスをカソードとする単セルを形成した。アノードに100%H2ガスを、カソードに21%O2/79%N2ガスをそれぞれ供給し、280℃におけるI-V測定、およびセルのインピーダンスの解析からカソードのASRを算出したところ、その値は約7.5Ωcm2となった。カソードの集電は目の粗い80メッシュのPtを押し付けただけの集電機能の低い構造であるため、より集電機能の高い構造とすることで実効的な反応面積が増大し、ASRが低減されることが予想される。そこで粒径5~8μmのAgの微粒子をホットプレスによりカソードに押し付け集電体としたところ、カソードのASRは約4Ωcm2まで低減した。集電機能をより一層高めることで、カソードのASRは最終的に1Ωcm2以下にまで低減されると予想されることから、プロトン・電子混合性ガラスはカソード材料として非常に高いポテンシャルを有していることが明らかとなった。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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