研究課題
特別研究員奨励費
Sr(3-x)SnO (x~0.5)の試料について、0.3 Kまでのミューオンスピン回転(μSR)実験を行った。昨年度に1.6 Kまで測定した結果が再現され、さらに低温では試料内のミューオン緩和率が温度にほとんど依存しないことを明らかにした。この結果は超伝導ギャップにノードがないことを意味している。また、ミューオン緩和率から導かれる磁場侵入長が数百ナノメートルであり、5 Kという転移温度を考慮すると非常に長いことがわかった。磁場侵入長が長いという事実はSr(3-x)SnOがドープされたディラック電子系であることと整合的であると同時に、Sr(3-x)SnOにおける超伝導が非従来型である可能性を示唆している。Sr(3-x)SnOは5 Kと0.8 Kで2段階の超伝導転移を示すが、0.8 Kではミューオン緩和率の増大は見られなかった。ミューオン緩和率の変化が検出限界を下回ったと考えられる。また、ゼロ磁場での測定では時間反転対称性の破れは検出されなかった。この研究はスイスのポール・シェラー研究所との共同研究である。新しい超伝導体であるCaSb2を発見した。直流・交流磁化率、電気抵抗、比熱の温度依存性において1.7 K以下で超伝導が見られた。転移温度の磁場依存性から、上部臨界磁場は0.2 Tと見積もられた。また、直流磁化率の磁場依存性から下部臨界磁場は5 mTより小さいことがわかった。CaSb2の電子構造は非共型の結晶対称性によって保護されたディラック線を持っている。そのような物質の常伝導状態では特異な物性が理論的に予言されているので、超伝導状態に対してもディラック線がどのように寄与するか興味深い。この研究は京都大学基礎物理学研究所との共同研究である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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