研究課題
特別研究員奨励費
前年度から引き続き全大気シミュレーションモデルGAIAを用いて、ロスビー波と重力波の発生要因の研究を行なった。この研究については、ロスビー波、重力波と潮汐波を含めた大気波動の運動量収支とロスビー波の順圧傾圧不安定からの発生とその発生要因について扱った論文と中間圏および下部熱圏における重力波のシア不安定からの発生とそのシア不安定の発生要因を調べた論文にまとめた。2編とも国際論文誌Journal of the Atmospheric Sciences に掲載された。以上の内容について、学会発表を3件行なった。平成30年度は、北極成層圏突然昇温(SSW)に関連する研究を行なった。SSWイベントに伴い、しばしば赤道を越えて南半球亜熱帯域まで低温偏差が見られる。一方、南半球中間圏下部熱圏では、SSW後に高温偏差が現れることが数値モデルによって示され、この結果に基づいて中間圏重力波強制による北半球成層圏から北半球中間圏、南半球中間圏を通した気候値からの気温偏差の南北間半球結合のシナリオが提唱された。本研究では、SSWに伴う赤道成層圏低温偏差の発生とその要因、および成層圏赤道低温偏差イベントに注目した南半球中間圏下部熱圏のSSWに伴う大気応答の発生とその要因について解析を行なった。結果は、赤道低温偏差は、ほとんどの事例でSSWと対応しており、特に大きな赤道低温偏差の発生は、角運動量の緯度勾配が小さい低緯度において、ロスビー波の砕波が発生した場合に起こることが分かった。また赤道低温偏差イベントに対する南半球中間圏下部熱圏の応答については、南半球下部熱圏極域で、その後上部中間圏で高温偏差が発生することが分かった。これらは、それぞれ重力波、準二日波の波強制が変化して生じることが分かった。以上の内容について、投稿論文としてまとめる予定である。また、以上の内容について学会発表を2件行なった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件) 備考 (4件)
Journal of the Atmospheric Sciences
巻: 75 号: 10 ページ: 3613-3633
10.1175/jas-d-17-0336.1
巻: 75 号: 10 ページ: 3635-3651
10.1175/jas-d-17-0337.1
http://www-aos.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~yasui/
http://www-aos.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~sato-lab/