研究課題
特別研究員奨励費
ハロゲン化金属ペロブスカイト半導体は、様々な試料形態のものを低温プロセスかつ化学的手法で簡便に作製できる上に、非常に優れた光電変換特性を示す材料として世界的に注目を集めており、太陽電池に限らず光検出器、発光ダイオードやレーザーなど様々な光デバイスへの応用研究も行われている。そのような光デバイスの高効率化のためには、ペロブスカイト半導体自身の光学特性をまずは正しく理解することが不可欠となる。以上を踏まえ、本研究ではハロゲン化金属ペロブスカイト半導体の基礎光学特性をレーザー分光法により解明することを目的としている。初年度では、ペロブスカイト半導体のバンド端近傍特性を解明するために発光励起分光システムを立ち上げ、光学的に厚い単結晶試料における発光の再吸収やフォトンリサイクリングの影響を明らかにした。また、フォトンリサイクリングを考慮した解析を通してバンドギャップなどの基礎光学定数の決定を行った。本年度は励起エネルギーよりも高いエネルギーで光るアンチストークス発光に注目してCH3NH3PbI3を対象に研究を行った。発光励起分光法に基づくアンチストークス発光特性の評価法を新たに開発し、光学的に薄い膜および厚い単結晶試料において測定することで、その励起エネルギー依存性や再吸収効果との競合を評価した。薄膜と単結晶ともに明瞭なアンチストークス発光を観測した。また単結晶の場合、アンチストークス発光とストークス発光の強度が釣りあう励起エネルギー(Eeq)は再吸収効果によってレッドシフトした。アップコンバージョンゲインスペクトルはブロードな形状で、薄膜・単結晶ともに励起エネルギーがEeqよりも11 meV程度低い点で最大値をとった。この点で最もレーザー冷却効率が高くなることを示した。CH3NH3PbI3が光冷凍機という新しいタイプの光デバイス材料としても高いポテンシャルを持つことを示した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 10件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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