研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、骨への感覚神経の投射が健康な骨の発達に寄与することを証明した我々の研究(Nature 2013)を発展させ、感覚神経による骨代謝調節機構の詳細なメカニズムの解明を目的としている。はじめに、感覚神経と骨との解剖学的な連関を明らかにするために、マウスの骨髄内にGFP発現神経トレース剤を投与する実験を行った。トレース剤の投与後、経時的に脊髄の組織切片を作成したところ、後根神経節(DRG)内にGFPを発現する多数の感覚神経細胞を認めた。次に、感覚神経と骨芽細胞の機能的な連関を明らかにするために、オプトジェネティクスの手法を用いて感覚神経を刺激し、それが骨芽細胞に与える影響を検証した。具体的には、アデノ随伴ウイルスにてチャネルロドプシン2 (ChR2)を発現させたDRGを青色光で刺激し、骨芽細胞における応答を対照群と比較した。しかし、DRGを一過性に青色光で刺激しても、骨芽細胞の有意な応答を確認することは困難であった。生理的条件化において、骨芽細胞は恒常的に感覚神経からのシグナルを受容していると考えられ、オプトジェネティクスの手法を用いた一過性の刺激では、生理的な状況を再現することが困難であることが示唆された。そこで、特定の神経活動を持続的に操作するために、DREADD (Designer Receptor Exclusively Activated by Designer Drug)システムによる感覚神経活動操作法の確立に着手した。現在、人工リガンドであるクロザピンーN-オキサイド(CNO)の添加による感覚神経活動の活性化を検討中である。さらに、感覚神経と骨の関係性を三次元的に評価するために、2017年から骨組織の透明化技術の開発に取り組んでいる。2018年度はさらに技術開発を進め、組織の破壊が最小限に抑えられた質の高い骨内の神経・血管系の可視化に成功した。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Journal of Infectious Diseases
巻: 215(12) 号: 12 ページ: 1893-1897
10.1093/infdis/jix246