本年度は研究課題に関連する3本の論文が査読付きの国際的な学術誌に採用された。論文の詳細は以下の通りである。 1.Government-leading welfare-improving collusion:利潤を最大化する私企業と、厚生を最大化する公企業が存在する混合複占市場において、政府が競争で達成される厚生よりも高い厚生を達成するcollusionを提示した場合のcollusionの安定性を、価格競争と数量競争で比較した。結果として、企業の割引率が大きい(小さい)時には数量(価格)競争において、価格(数量)競争よりも高い厚生を達成するcollusionが維持可能であることを示した。 2.Supply function equilibria and nonprofit-maximizing objectives:混合寡占市場に各企業が供給関数を設定するような供給関数競争を導入し、公企業の最適な民営化率を議論した。結果として供給関数競争では混合複占市場において、公企業の最適な民営化は完全国有化になることを示した。 3. Competitive pressure from neighboring market and optimal privatization policy:1社の公企業が同質財を生産する私企業と、差別化された財を生産する私企業と競争している状況において、企業数と公企業の最適な民営化への関係を議論した。結果として、同質財を生産する私企業数が増加した場合には、公企業の最適な民営化率は単調に増加する。一方で、差別化財を生産する私企業数増加した場合には、最適な民営化率は非単調に変化することを示した。 これに加えて、公企業の民営化のタイミングが私企業の利潤や参入、R&D投資に与える影響に関する研究、混合寡占市場での私企業の非対称性と民営化政策の関係を議論する研究を行った。
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