研究課題
特別研究員奨励費
本研究課題は、腸内細菌から宿主に受け渡される物質(主に細菌代謝物を想定)から、宿主の脳の発達や維持に関わる共生因子を探索し、その作用機所を解明することを目的とした。それにより、腸内細菌を介した「腸脳相関」を理解するとともに、疾病治療や診断といった応用を目指すものである。腸内細菌抽出物(代謝物)を対象とし、《1 神経細胞分化誘導因子の探索》、《2 Aβ凝集調節因子の探索》、《3 コレステロールトランスポーター調節因子の探索》の3つの方法で「機能性」から腸脳相関に関わる可能性のある物質のスクリーニングを行ってきた。また、脳が急速に発達する乳児期の腸内細菌形成に関する解析も行った。《2 Aβ凝集調節因子の探索》幅広い条件のヒト糞便(年齢:幼児から60代)を回収し、抽出物サンプルについて、評価を行った。Thioflavinを用いたシート構造をとった凝集Aβの検出、遠沈法による重合したAβオリゴマーの〝重合分子サイズ″の評価、HPLCによる未重合〝Aβモノマー″の定量を行った。《3 コレステロールトランスポーター調節因子の探索》これまでに得られている、コレステロールトランスポーターの活性を調節(排出を促進)する効果有する腸内細菌抽出画分において、機能分子の同定を進めた。今回、もっとも高い効果が見られた特定の腸内細菌のクロロホルム・メタノール抽出画分とクロロホルム・酢酸エチル抽出画分について、薄層クロマトグラフィーとHPLCによる分離を行い、複数のフラクションに分画、構造決定を試みた。《その他》乳児特異的ビフィズス菌が、ヒト母乳中のオリゴ糖(ヒトミルクオリゴ糖)を資化する代謝経路を有することで、腸管内で優占種となることが明らかとなっており、ビフィズス菌の持つヒトミルクオリゴ糖トランスポーターの同定と特性の解析が所属グループ内で進められ申請者も、解析の一部を担当した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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