研究課題
特別研究員奨励費
本年度は、新規に開発した光触媒的ドライリフォーミングの高活性化及びメカニズムの解析を行った。まず反応ガスの組成を変化させながら生成物を質量分析することで、反応媒介物質(メディエーター)に関する知見を得た。結果、触媒内の酸素、とりわけ格子酸素が反応に関与していることが示唆された。このため、同位体を用いて格子酸素が反応に関与しているかどうかを検証した。まず、チタン酸ストロンチウムの格子酸素を16Oから18Oへと置換した。続いて、メタンと二酸化炭素を系に流し、生成物を質量分析したところ、C18Oの生成が確認された。このことより、格子酸素が反応へ寄与していることが実証された。従来の光触媒系では、反応のメディエーターは液相中のプロトンか酸素ラジカル種であった。本研究では、格子酸素をメディエーターとした光触媒反応系の初の実証となる。本研究は、Nature Catalysis誌に報告した。次に、初年度に作製したナノ相分離触媒と、格子酸素の利用という観点を合わせたナノ相分離光触媒の開発を行った。本研究ではセリウムとロジウムを元素として選択し、これらの金属間化合物を雰囲気処理することにより金属ロジウムと光半導体である酸化セリウムがナノ相分離構造となった触媒を作製した。この結果、光照射下で63%を超えるメタン・二酸化炭素転換率を達成した。また、生成物の比も量論比通りであり、副反応のない理想的な反応が進行した。さらに、本触媒を反応条件下で耐久実験を行ったところ100時間以上にわたり安定した活性を示し、ターンオーバー数は13000となった。さらに、酸化セリウムはバンドギャップが約2.7eVであり可視光を吸収することができる。よって、カットオフフィルターを用いて可視光を照射したところ量論比通りの生成物を確認した。これにより、本研究の最終目標である可視光によるドライリフォーミング系の確立が成った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 6件) 備考 (3件) 産業財産権 (1件)
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