研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、ダイズの対ハスモンヨトウ抵抗機構の物質的基盤を化合物レベルで解明することを目的とした。植物が持つ害虫抵抗性は、その抵抗性機構によって非選好性 (物理・化学的に害虫の行動を阻害する抵抗性機構) と抗生性 (害虫の生育・生理に関わる機能を生化学的に阻害する抵抗性機構) に分けられる.これまでの研究で,ハスモンヨトウ抵抗性のダイズ品種が持つ非選好性と抗生性に関わる代謝物の同定した.そこで,抗生性に関連する代謝物および構造類縁体の有機合成,および作用機構の解明に取り組んだ.また前年度に引き続き,ダイズ由来のプロテアーゼインヒビターとイソフラボンの協奏的なプロテアーゼ阻害作用の検討,およびダイズにイソフラボンを誘導する未知の幼虫由来エリシターの同定を目指した.さらに,ダイズ品種によって様々な抵抗性機構を持つことが予想されたため,多品種を対象としたスクリーニングを行い,新たな抵抗性品種の探索に取り組んだ.これまでに同定した抗生性の活性を持つ代謝物試料には,2つのエナンチオマーが含まれることがわかった.そこで,それぞれを有機合成して活性を比較したところ,一方がより強い活性を持つことがわかった.また,抵抗性品種は同物質を感受性品種より多く持つことも明らかにした.協奏的なプロテアーゼ阻害作用の立証,および未知エリシターの特定は達成することができなかったものの,後者に関しては活性画分の絞り込みで得られた結果から,今後の研究で達成できると期待できる.また,抵抗性品種のスクリーニングには,ダイズの世界のミニコアコレクション (80品種) を用い,摂食時の幼虫生育が強く抑制される5品種を見出した.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biosci., Biotechnol. Biochem.
巻: 82 号: 8 ページ: 1309-1315
10.1080/09168451.2018.1465810