研究課題/領域番号 |
17J09158
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
株田 千華 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2018年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2018年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2017年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | RNautophagy / RNA分解 / SIDT2 |
研究実績の概要 |
新規オートファジシステムーRNautophagyは、リソソームにATP依存的にRNAを直接取り込み分解する機構である。これまで、単離リソソーム系を用いてRNautophagyによるリソソームへのRNAの取り込み機序について調べられてきたが、実際の生体内においてRNautophagyの細胞内基質となるRNAはまだ明らかになっていない。また、動物個体におけるRNautophagyの生理的意義も不明である。そこで、本研究では、(1)RNautophagyにおける細胞内基質の同定、(2)動物個体における定常的RNautophagyの生理的意義解明、を目的として研究をすすめている。 本年度は、どのようなRNAがRNautophagyの基質になりうるかについて、Actinomycin D、[3H]-ウリジンによる新生RNA標識、Tet-offヘベクターを用いた発現制御システムなど複数の系を用いて検討した。RNautophagyにおいて輸送体として機能するSIDT2をノックダウン、または過剰発現させた細胞を用いて、前述した種々の方法によりRNA分解のチェイスを行った。その結果、複数種類のRNAにおいて、SIDT2の発現変化に伴うRNA分解の変化がみられた。更に、Actinomycin Dを用いた系を用いてマイクロアレイを行い、主にmRNAの分解について網羅的な解析を行い、現在詳細な解析をすすめる段階に入っている。また、SIDT2ノックアウトマウスにおいても、RNA蓄積や筋変性などの症状が観察された。 研究成果の報告としては、得られた結果の一部をとりまとめ、RNautophagyの細胞内基質になりうるRNAついて学会発表を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、RNautophagyの細胞内基質になりうるRNAを探索すること、また、RNautophagyにおいて輸送体として機能するSIDT2を欠損させたマウスの解析を中心に解析を行った。哺乳類細胞を用いたRNA分解アッセイ系は確立されていない部分が多いため、アッセイ系の構築から着手した。そして、Actinomycin D、[3H]-ウリジンによる新生RNA標識、Tet-offヘベクターを用いた発現制御システム、という複数の系で分解チェイスを行えるようになった。実際に、これら分解アッセイ系を用いて、RNautophagyの細胞内基質の候補として複数種類のRNAを見出した。また、Actinomycin Dチェイスを行ったサンプルでマイクロアレイ解析を実施することができた。SIDT2ノックアウトマウの表現型について、RNautophagyの細胞内基質候補ともリンクさせて解析をすすめてきた。以上の結果を鑑みて、研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展していると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、RNautophagyの細胞内基質の候補となったRNAについて、さらに詳細に解析をすすめる予定である。 まず、基質候補であるRNAについて、RNAの種類や配列、細胞内環境による分解のされやすさの変化など、様々な側面から検証していく予定である。また、RNautophagyの輸送体であるSIDT2の変異体やリソソーム阻害剤なども組み合わせた実験により、基質候補のRNAがRNautophagyにより分解されることを示す。マイクロアレイの解析結果をうけて、新たに基質候補となったRNAについてはqPCRにより検証し、また、網羅的な視点でRNautophagyの標的になりやすいRNAの特徴があるかどうか調べていく。 SIDT2ノックアウトマウスについては、老齢のマウスを用いて異常なRNA蓄積や病理的な所見がみられるか解析することにより、SIDT2が長期的な欠損(または低下)が動物個体に与える影響について検証する。
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