研究課題/領域番号 |
17J09962
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
獣医学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
内田 萌菜 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2019年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2018年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2017年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 腫瘍増大抑制 / ミスセンス変異 / 組織球性肉腫 / AIM / マクロファージ |
研究実績の概要 |
これまでの研究によりマクロファージの分泌するタンパク質であるApoptosis Inhibitor of Macrophage(AIM)が組織球性肉腫細胞株に対してアポトーシス誘導作用があることが明らかとなった。そのため、本年度はそのアポトーシス誘導性が生体内においても存在するのかどうかについて検討することとした。 まずは昨年度に作成したイヌAIM恒常発現細胞株をヌードマウスに移植し、生体内でのAIMの組織球性肉腫に与える影響について検討した。腫瘍サイズを2日おきに測定したところ、通常の組織球性肉腫細胞株と比較してAIMを恒常発現する細胞株では有意に増大速度が遅い結果が得られた。 続いて、同じく昨年度作成した抗イヌAIM抗体を用い、組織球性肉腫の免疫組織化学を実施した。病理学的に組織球性肉腫と診断された症例のパラフィンブロックよりスライドを作成し、染色を実施した。すると、30%の症例はAIMの発現量が認められなかったが、40%の症例では強く発現が認められた。残り30%はまだらに染色された。 AIMが陽性であった症例に関してAIMの機能異常が考えられたため、組織球性肉腫症例のAIMのDNA配列を同定した。組織球性肉腫症例では腫瘍部・正常部ともに同一のSNPが観察された。このSNPはアミノ酸置換を伴うものであり、AIM自体の機能や構造に変化をもたらす可能性が考えられた。つづいてこれを非組織球性肉腫罹患犬におけるSNPの発生頻度と比較したところ、組織球性肉腫症例では有意に高い頻度でSNPが認められることが明らかとなった。 以上の結果より、SNPを持つ症例は組織球性肉腫に罹患しやすくなっている可能性、さらにSNPを保持するAIMが、AIMの既知の機能と別の機能を持っている可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初組織球性肉腫ではAIMがアポトーシスを引き起こす作用があることが当研究室の研究により明らかにされてきた。そのため、組織球性肉腫症例ではAIMの発現が低下していることが考えられた。しかし、実際に組織球性肉腫の免疫組織化学を実施してみると、40%の症例で発現が亢進している様子が認められた。このことから、当初予想していた仮説とは異なり、一部のAIMはアポトーシス誘導因子として作用していない可能性が考えられた。そのため、当初の予定には存在しなかったAIMのDNAのシーケンスを実施する流れとなった。研究自体は順調に進んでおり、何かしら問題があると考えていたAIMのDNA配列にも実際に変異が見つかり、その変異の有無がAIMの発現の強弱に関係している可能性があると考えている。以上の理由から、当初の進捗予定とは異なるが、「おおむね順調に進展している」という評価に至った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は今回認められた変異が実際にAIMの機能異常に繋がっているのか、さらに、AIMの発現量の違いに繋がっているのかを検討する。さらにこれらが症例の予後に関係しているかどうかについても検討する。そのため、まずは組換えタンパク質を作製し、組織球性肉腫細胞株に添加してアポトーシスが誘導されるかなどを確認予定である。さらに、もしin vivo実験系にて評価が必要であると判断された場合にはクリスパーキャスシステムによりAIMをノックアウトした組織球性肉腫細胞株に変異を持ったAIMを恒常発現するように処置を行い、変異のあるAIMのみを恒常的に発現する細胞株を作製する必要が出てくる。 また、今回変異の有無が組織球性肉腫の発生に関係している可能性を考えているが、犬種による交絡を考える必要があるため、今後はさらにn数を増やし、全体だけではなく犬種ごとにSNPの発生頻度が影響しているのかを検討する。同時に、同一の症例でAIMの染色性や変異の有無、予後についても検討したいと考えているため、全て条件の揃っている症例をなるべく募集する。
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