研究課題
特別研究員奨励費
夕食後から入眠までの間に食事を摂取する「夜食症候群」の患者は、通常のうつ患者とは違い夕方から夜にかけてうつ症状を示すことが知られている。申請者は乱れた食事タイミングがうつ症状発症の原因になるのではないかと考え、後述する給餌条件を用いて仮説の検証と発症メカニズムの解明を行うことを本研究の目的とした。本研究では、通常食を自由摂食させつつ、高脂肪食を明期(マウスにとっての非活動期)の真ん中に5分間給餌する条件下で飼育されたマウスを食事タイミングの乱れたマウスとし、通常食を自由摂食させる群を対照群として実験を行った。前年度までの研究により、このモデル群が夜食症候群の患者と同様に時刻特異的なうつ症状を示すこと、末梢時計の位相変動を引き起こすほどのカロリー量の摂取や海馬におけるセロトニンのストレス応答性の変化が原因となることが分かった。そこで本年度はさらなるメカニズムの解明を行うために時刻依存的うつ様行動に関与しているセロトニン受容体の特定とスクリーニングされた受容体の遺伝子発現量の海馬における時刻推移に関する検証を行なった。実験1では、先行研究によりうつ様行動を改善することが報告されている各セロトニン受容体の作動薬もしくは拮抗薬をNESモデルマウスに投与して時刻依存的なうつ様行動について検証した。その結果、ある受容体(受容体A)の作動薬のみが改善作用を示すことが分かった。実験2では、対照群とNESモデル群から海馬のサンプルを採取してリアルタイムRT-PCRにより、セロトニン受容体AのmRNA量の日内変動について検証を行った。その結果、セロトニン受容体AのmRNA発現量の日内変動が確認されなかった。以上の実験結果から、乱れた食事タイミング・パターンが時刻特異的うつ様行動を引き起こすメカニズムとして、セロトニン受容体Aの機能が低下していることが確認された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件)
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