研究課題
特別研究員奨励費
本研究では,拘束型器具の装着・専門医師の診断が必要であった従来の推定法から,無拘束型器具で取得可能な生体データ(心拍・体動・呼吸)に対し周波数解析を用いた睡眠段階推定手法の実用化に取り組む.この目標達成のため,(ⅰ) 従来の心拍だけの推定ではなく,他の生体データ(体動・呼吸)を用いた睡眠段階推定精度の向上,(ⅱ) 個人の日々の体調変化や被験者によって推定精度が減少しない推定法の確立,(ⅲ) 就寝直後のような短時間における推定法の確立,(ⅳ) 生体データ欠損時での近似的な補完方法の確立,の4つのサブテーマを掲げ,2017・2018年度で取り組んだ.2019年度はこれらのサブテーマに対し,人間が保有する生体リズムを新たに考慮することで睡眠段階推定の高精度化を目指すとともに,健常者だけでなく無呼吸症候群のような睡眠障害を持つ被験者に対しても実験をすることで,性別・年齢だけでなく健康状態を問わないロバストな推定法の確立に取り組む.具体的には,人間が持つ約90分の周期の体内周期であるウルトラディアンリズムに着目し,睡眠時の生体振動データの平均・分散・標準偏差などの特徴量からウルトラディアンリズムの周期変化を捉え,周期に合わせたデータ区間を決定し推定することでより高精度な推定が可能となる.被験者実験より,20代から70代までの男女に対して睡眠時の生体振動データを取得し,提案法を用いたところ体内周期変化を考慮することで,10%程度の睡眠段階推定精度の向上が実現した.また,無呼吸症候群患者の睡眠時の生体振動データを用いたところ無呼吸による中途覚醒で体内周期が乱れることがわかり,考慮をしない推定法よりも誤推定を減らすことが可能となった.また,体内周期の乱れを健常者との睡眠データと比較をすることで異常を検知する可能性が存在し,睡眠障害の診断の指標の一つとしてを示唆することが可能となった.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
'',SICE Journal of Control, Measurement, and System Integration (JCMSI)
巻: 11/1 号: 1 ページ: 32-39
10.9746/jcmsi.11.32