研究課題
特別研究員奨励費
当該研究は原子・分子過程を利用したニュートリノ質量分光法開発の一環として行われた.この手法では励起原子・分子が脱励起する際に光子1つとニュートリノ対を放出する,光子随伴ニュートリノ放出過程(RENP)を観測することで,未だ未知であるニュートリノの質量絶対値,質量階層,質量様式,CP非保存位相といった未決定パラメーターを決定できると期待されている.観測を目論む脱励起過程は弱い相互作用の理論から存在が確実ではあるが脱励起寿命が宇宙年齢上の稀過程であるため,観測のためには遷移を爆発的に増幅する機構が必要となる.このような遷移増幅は,近年,レーザーを利用しマクロな原子・分子集団に対し量子力学的干渉性(コヒーレンス)を付与することで実現可能であることが提唱されており.実際にパラ水素分子を用いて振動準位間の2光子遷移を18桁増幅させることに成功している.当該研究では,マクロコヒーレント増幅機構と称されるこの増幅機構を気体Xe標的に適用すべく実験研究を行った.Xeは第1励起状態に基底状態と全角運動量Jの量子数が2異なり,相対パリティが奇の準安定状態を持つ.この2状態間はRENP過程許容であることが知られており,標的の高密度化も比較的容易であることからRENP観測へ向けた標的候補の1つである.マクロコヒーレント増幅機構をこの系に適用するためには,基底状態と準安定状態間の重ね合わせ状態を創出する必要がある.このために,当該研究では高強度の紫外パルスレーザー(波長298nm)開発を行い準安定状態への光励起実験を行った.実験に使用した遷移は1光子での遷移が厳密に禁止されているためレーザーを用いた励起の報告例はない.開発レーザーを利用した励起実験では,磁気双極子遷移.電気四重極子遷移を利用した2光子での励起が確認できた.さらにプローブレーザーを導入し,準安定Xeの原子数を評価した.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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