研究実績の概要 |
本研究では高速モータと非接触で動力を伝達できる磁気ギアを一体化したモータシステムを構築することでモータシステムの高効率化と小型化に加え, 摩擦を無くすことによる高付加価値化を実現することを目的として研究活動を行った。一年目に理論構築したフラックススイッチング型磁気ギアの原理検証機を製作し, 特性評価を行った。実機実験により, 提案するフラックススイッチング型磁気ギアは目標回転速度30000回転/分で動作可能であり, リラクタンス型磁気ギアに比べて高トルク密度を満たすことを検証した。また, 20000回転/分以上の駆動領域において80%~90%の高い効率が得られることを明らかとした。これまでの先行研究において20000回転/分以上の速度領域で駆動可能な磁気ギアは存在せず, 実機実験より高速領域で動作可能かつ高効率が得られたことは特筆すべき成果といえる。モータシステムの更なる高効率化と小型軽量化のためMagnetic Multiple Spur Gear(MMSG)を提案した。MMSGは一つの出力ロータと複数の入力ロータから構成され, 全ての入力ロータに小型・高速モータが取り付けられている。固定鉄片(変調子)を用いず, 入力ロータの磁束を直接的に出力ロータに伝達するためエアギャップ中の高調波磁束が少なく損失を大幅に低減できる。 出力40kWのEV用インホイールモータシステムを対象にMMSGと磁気ギアと高速モータの駆動システムを設計し, 有限要素法解析により提案するモータシステムの小型化と高効率化の有効性を示した。上記までの研究成果を国際会議2件(ECCE2018, IECON2018) で研究発表し, さらに一年目に検討したリラクタンス型磁気ギアの内容をまとめた米国論文誌(IEEE Transaction on Industry Applications)に投稿した。
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