配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2017年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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研究実績の概要 |
本研究の目的は, 重力波検出器の国際ネットワーク時代における(A)コンパクト連星合体の形成史の解明および(B)強い重力場における新物理学の探究に大別される. (A.1) 連星中性子星合体重力波GW170817の再解析: LIGO Hanford検出器とLivingston検出器との潮汐変形率の推定結果に食い違いを発見し, Livingston検出器の解析に用いる高周波数カットオフを変化させることで, 高周波数帯のデータが潮汐変形率の情報をあまり持っていないことから, 検出器の非ガウス雑音の除去の不完全さが影響している可能性を指摘した. (A.2) GW170817の数値相対論較正波形を用いた再解析: GW170817の実データ解析における重力波波形モデルの系統誤差の影響を調べた. 潮汐変形率を系統誤差なく見積もるには, 数値相対論較正波形が必要である. 京都数値相対論グループによる高精度数値相対論シミュレーションで較正された重力波波形をテンプレートとして, GW170817の再解析を行い, 潮汐変形率を推定した. その結果は, 波形モデルの不正確性による推定された潮汐変形率の系統誤差は, 統計誤差よりもずっと小さいことを示した. (B.3) 連星ブラックホール合体重力波の潮汐変形率の推定: 一般相対論のブラックホールの潮汐変形率はゼロであるが, 特異コンパクト天体では, 潮汐変形率は有限の値を持つ. 我々は, LIGO-Virgoの連星ブラックホール合体重力波の潮汐変形率を再解析によって制限している. (その他) KAGRAのアップグレードプラン: KAGRAの将来検出器構成を決定するために, 連星中性子星合体重力波の解析から潮汐変形率を推定するという観点から感度比較を見積もった. 我々は, KAGRAの将来検出器構成のうち, どの構成が潮汐変形率の推定を行う上で有利かを比較した.
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